会社で毎年行われている健康診断を、「初期段階で病気が見つかればラッキー」なんて気持ちで受けたことなどない。

 健康である。ということを確認するために毎年受診していた。

 入社して8年。30歳になった今年、妊娠が発覚して同じ職場の友樹と結婚した。

 健康診断感覚だった。

 費用は安くはないけど、初めての妊娠だったから、安心したかった。

 我が子は何の障がいもない健康優良児ですよ、と。

 NIPTの検査結果に、目の前が真っ暗になって、頭の中が真っ白になった。

 21トリソミー、陽性。

 我が子が、ダウン症かもしれない。

 胸のざわつきが収まらなくて、それどころか時間が経つにつれてザワザワと実際に音が聞こえる気がするほどに動転し、産婦人科を出ると、鞄からスマホを取り出し、15:00現在仕事の真っ最中だと分かりきっている会社の同期の親友・奈子に電話を掛けていた。