それから、ちょくちょく真は病院に顔を出すようになった。最初の内は母親同伴だったが、今は1人でひょっこりやって来る。
「こんにちは。暑いのに理央ちゃんのお見舞いによく来てくれてありがとう。」
その日も面会開始時間の13時ピッタリに現れた真。ちょうど昼食が終わり、下膳のタイミングで鉢合わせした未来が声を掛ける。
「いえ。俺が顔出してやらないと、理央が寂しくて泣いちゃうだろうから。」
「なに言ってるの?別に真くんが来なくったって、院内学級の友達や学校の友達が来てくれるし、未来さんだっているもん。」
からかうような真の言葉に、理央がムキになって言い返し
「だいたいさ、真くん、ちゃんと夏休みの宿題やってるの?」
と逆襲すると
「大丈夫に決まってるだろう。今どきのサッカ-少年はちゃんと勉強もしないといけないんだ。俺の憧れの高城翔平選手なんて、小学校の時から勉強得意だったんだぞ。」
そう言って胸を張る。突然翔平の名前が出て来て、びっくりしながら
(翔くんがそんなに成績優秀だったなんて聞いたことないけど、な・・・。)
などと未来は考えてしまう。そうこうしてる間に理央と真の言い合いは続き
「わかったよ。じゃ明日からもう来ないからな。俺だって、久しぶりに帰って来て、こっちの友だちからいっぱい誘われてるんだから、別にお前にわざわざ会いに来なくったって構わないんだからな。」
と言うや、真は部屋から出て行こうとする。自分の声掛けから、思わぬ展開になって、未来が慌てて引き留めようとすると
「待って。」
理央が呼び止める声がした。
「なんだ、やっぱり寂しいんじゃんか。」
「せっかく真くんが帰って来てるのに、会えないのは嫌。」
からかうように言った真に、理央はそう答えて、真の顔を見る。彼女の視線を受けて、真の表情からスッと笑みが消えた。
「俺だって嫌だよ。次、いつこっちに帰って来られるかわかんないのに理央に会えないなんて・・・。だからさっきみたいなこと言うなよ。」
「うん、ごめんね・・・。」
そう言って見つめ合う2人の様子に
(えっ、なにこの雰囲気・・・。この子たち、まだ中1と小6だよね。なのにまるでカレカノみたいじゃない・・・。)
未来はびっくりするやら、羨ましいやら・・・。
もっとも、その後は、何事もなかったかのように、賑やかにおしゃべりを始めた2人の様子はやっぱり、年相応に見えたが、考えてみれば、この年頃の男女が仲良くしゃべるというのは、結構ハードルが高いはずなのに、2人からはそんな気配が全く感じられなかった。
(なんか、似てるかも・・・。)
彼らの様子に、未来は既視感を覚えていた。
「こんにちは。暑いのに理央ちゃんのお見舞いによく来てくれてありがとう。」
その日も面会開始時間の13時ピッタリに現れた真。ちょうど昼食が終わり、下膳のタイミングで鉢合わせした未来が声を掛ける。
「いえ。俺が顔出してやらないと、理央が寂しくて泣いちゃうだろうから。」
「なに言ってるの?別に真くんが来なくったって、院内学級の友達や学校の友達が来てくれるし、未来さんだっているもん。」
からかうような真の言葉に、理央がムキになって言い返し
「だいたいさ、真くん、ちゃんと夏休みの宿題やってるの?」
と逆襲すると
「大丈夫に決まってるだろう。今どきのサッカ-少年はちゃんと勉強もしないといけないんだ。俺の憧れの高城翔平選手なんて、小学校の時から勉強得意だったんだぞ。」
そう言って胸を張る。突然翔平の名前が出て来て、びっくりしながら
(翔くんがそんなに成績優秀だったなんて聞いたことないけど、な・・・。)
などと未来は考えてしまう。そうこうしてる間に理央と真の言い合いは続き
「わかったよ。じゃ明日からもう来ないからな。俺だって、久しぶりに帰って来て、こっちの友だちからいっぱい誘われてるんだから、別にお前にわざわざ会いに来なくったって構わないんだからな。」
と言うや、真は部屋から出て行こうとする。自分の声掛けから、思わぬ展開になって、未来が慌てて引き留めようとすると
「待って。」
理央が呼び止める声がした。
「なんだ、やっぱり寂しいんじゃんか。」
「せっかく真くんが帰って来てるのに、会えないのは嫌。」
からかうように言った真に、理央はそう答えて、真の顔を見る。彼女の視線を受けて、真の表情からスッと笑みが消えた。
「俺だって嫌だよ。次、いつこっちに帰って来られるかわかんないのに理央に会えないなんて・・・。だからさっきみたいなこと言うなよ。」
「うん、ごめんね・・・。」
そう言って見つめ合う2人の様子に
(えっ、なにこの雰囲気・・・。この子たち、まだ中1と小6だよね。なのにまるでカレカノみたいじゃない・・・。)
未来はびっくりするやら、羨ましいやら・・・。
もっとも、その後は、何事もなかったかのように、賑やかにおしゃべりを始めた2人の様子はやっぱり、年相応に見えたが、考えてみれば、この年頃の男女が仲良くしゃべるというのは、結構ハードルが高いはずなのに、2人からはそんな気配が全く感じられなかった。
(なんか、似てるかも・・・。)
彼らの様子に、未来は既視感を覚えていた。


