茉弘side
文化祭に向けての準備が本格化する中、本番で着る衣装の準備が出来たようだ。
着るように促され、着替えたはいいものの・・・。
「似合わないな〜」
お嬢様が着てそうなドレスを身にまとった自分を見て、強く思う。
体を動かしながら服を見るけど、こういうのは由紀の方が似合いそうだ。
「馬子にも衣装ってこのことを言うのね」
着るのを手伝ってくれた由紀が腕を組みながらしみじみと呟く。
「けなしてる?」
「褒めてんのよ。想像してたよりは似合ってるわ」
それは褒めてると言っていいのだろうか・・・。
そんなことを考えながら由紀をみると、顎に手を当てていた。
「だけど、顔が衣装に負けてるわね・・・化粧もした方がいいかも」
「い、今から?」
「当たり前でしょ、ちょっと顔貸して」
どこかからメイクポーチを取りだした由紀は、私を椅子に座らせる。
私は由紀にされるがまま化粧を施される。
ファンデーションに、アイシャドウ、アイライナーとテキパキとメイクをしていく由紀。
「・・・はい、できたわよ」
そう言って鏡を見せてくれる由紀。
そこには私じゃない人が映っていた。
いつもより大きく見える目、プルっとした唇、アラがない肌。
知識としてはあるけど、自分で化粧をしない私からしたら魔法にかかったような感じがする。
「着替え終わったか?」
後ろから声をかけられ、振り返る。
そこには二海がいて、バチッと目が合う。
その途端、二海は目を見開いてこちらを見つめていた。
「・・・な、なによ」
「・・・馬子にも衣装だな」
ふいっとそっぽを向いて吐き捨てるように言う二海。
「アンタもそれ言う?なに、そんなに似合ってない?」
「・・・似合ってない、とは・・・言ってない」
頭をガシガシかきながら呟く二海。
その頬は少しだけ赤くなっていた。
「・・・あっそ」
いたたまれない空気になってしまい、私も黙り込む。
「お前ら着替えたな、んじゃその状態で練習するぞー」
クラスメイトの1人がその空気をぶち壊し、練習を始める。
だけど、相変わらず演技中は二海と目が合わない。
序盤はむしろ目を合わさない方がいいと言われていたからそれでいいんだけど、終盤は目を合わせろと散々言われている。
このまま目を合わせらんないと色々とマズイぞ。
「ねぇ、二海くん──」
そう思っている時、ジッと見ていた由紀が二海に耳打ちをした。
なんて言ったかは私にはわかんなかったけど、その言葉を聞いた二海は、手で顔を覆った。
「・・・言われなくてもわかってるっつーの」
なんの事かは分からなかったけど、由紀の言葉で私を見つめる二海。
「なぁ、辻本。もう1回」
「う、うん」
二海の催促によってもう一度告白のシーンをやり直す。
私がセリフを言う時も、二海は私を見つめたまま目を逸らさない。
まるで、本当に告白してる時みたいな感覚がして、かなり恥ずかしい。
だけど、二海は目を逸らすことなくセリフを言いきった。
散々目が合わなかったはずのセリフを目が合った状態で言われてしまい、思わず頬が熱くなっていく。
まるで、二海に告白して返事を貰ったみたいな感覚。
もしかして、二海もそう感じて目線合わさなかったのかな。
だとしたら、気持ちわかるな。
「辻本、なんか顔赤くね?」
「へ!?そんなことないと思うけど!?暑いせいかな!!」
顔が赤いとクラスメイトに指摘を受けてしまい、挙動不審になりながらこたえる。
変なところで目敏いんだから。
文化祭に向けての準備が本格化する中、本番で着る衣装の準備が出来たようだ。
着るように促され、着替えたはいいものの・・・。
「似合わないな〜」
お嬢様が着てそうなドレスを身にまとった自分を見て、強く思う。
体を動かしながら服を見るけど、こういうのは由紀の方が似合いそうだ。
「馬子にも衣装ってこのことを言うのね」
着るのを手伝ってくれた由紀が腕を組みながらしみじみと呟く。
「けなしてる?」
「褒めてんのよ。想像してたよりは似合ってるわ」
それは褒めてると言っていいのだろうか・・・。
そんなことを考えながら由紀をみると、顎に手を当てていた。
「だけど、顔が衣装に負けてるわね・・・化粧もした方がいいかも」
「い、今から?」
「当たり前でしょ、ちょっと顔貸して」
どこかからメイクポーチを取りだした由紀は、私を椅子に座らせる。
私は由紀にされるがまま化粧を施される。
ファンデーションに、アイシャドウ、アイライナーとテキパキとメイクをしていく由紀。
「・・・はい、できたわよ」
そう言って鏡を見せてくれる由紀。
そこには私じゃない人が映っていた。
いつもより大きく見える目、プルっとした唇、アラがない肌。
知識としてはあるけど、自分で化粧をしない私からしたら魔法にかかったような感じがする。
「着替え終わったか?」
後ろから声をかけられ、振り返る。
そこには二海がいて、バチッと目が合う。
その途端、二海は目を見開いてこちらを見つめていた。
「・・・な、なによ」
「・・・馬子にも衣装だな」
ふいっとそっぽを向いて吐き捨てるように言う二海。
「アンタもそれ言う?なに、そんなに似合ってない?」
「・・・似合ってない、とは・・・言ってない」
頭をガシガシかきながら呟く二海。
その頬は少しだけ赤くなっていた。
「・・・あっそ」
いたたまれない空気になってしまい、私も黙り込む。
「お前ら着替えたな、んじゃその状態で練習するぞー」
クラスメイトの1人がその空気をぶち壊し、練習を始める。
だけど、相変わらず演技中は二海と目が合わない。
序盤はむしろ目を合わさない方がいいと言われていたからそれでいいんだけど、終盤は目を合わせろと散々言われている。
このまま目を合わせらんないと色々とマズイぞ。
「ねぇ、二海くん──」
そう思っている時、ジッと見ていた由紀が二海に耳打ちをした。
なんて言ったかは私にはわかんなかったけど、その言葉を聞いた二海は、手で顔を覆った。
「・・・言われなくてもわかってるっつーの」
なんの事かは分からなかったけど、由紀の言葉で私を見つめる二海。
「なぁ、辻本。もう1回」
「う、うん」
二海の催促によってもう一度告白のシーンをやり直す。
私がセリフを言う時も、二海は私を見つめたまま目を逸らさない。
まるで、本当に告白してる時みたいな感覚がして、かなり恥ずかしい。
だけど、二海は目を逸らすことなくセリフを言いきった。
散々目が合わなかったはずのセリフを目が合った状態で言われてしまい、思わず頬が熱くなっていく。
まるで、二海に告白して返事を貰ったみたいな感覚。
もしかして、二海もそう感じて目線合わさなかったのかな。
だとしたら、気持ちわかるな。
「辻本、なんか顔赤くね?」
「へ!?そんなことないと思うけど!?暑いせいかな!!」
顔が赤いとクラスメイトに指摘を受けてしまい、挙動不審になりながらこたえる。
変なところで目敏いんだから。



