翌週、学校では文化祭に向けての準備が始まっていた。



私達は劇とメイドカフェをやることになった。



全員がやるのではなく、劇に出ない人達でメイドカフェをやるみたい。



劇の題材も決まり、あとは配役を決めるだけとなった。



「主人公とヒロインを決めたいんだけど、なんかいい案ある?」



委員長が進行し、話が進められる。



主人公は不器用で素直になれないツンデレな感じの役。



ヒロインもそんな主人公に突っかかりながらもそんな彼に惹かれていく役。



誰が適任なんだろ。



「俺思ったんだけど、この役なら二海と辻本がいいんじゃね?」



「俺もそう思う!」



「確かに、それがいいね。じゃあ二海が主人公、辻本がヒロインな〜」



そんなことを考えているうちに、あれよあれよと役が決まっていってしまう。



「ちょ、ちょっと待って!なんで私と二海なわけ!?」



「だって、お前らいつも痴話喧嘩してばっかじゃん?この役もそんな感じだし、良い配役じゃね?」



それを言われると反論できない。



実際、ケンカばっかりだし・・・。



「二海も何か言ってよ!」



「俺は別にいいけど」



否定して欲しい、そんな願いを込めて二海に話を振ったけど、二海は乗り気らしい。



嫌がってるの私だけ!?



「はい、じゃあ決まりね!後で台本渡すからよろしく!」



私の抵抗虚しく、決定されてしまった。



私がヒロインとか柄じゃないんですけど・・・。



そんな気持ちの私の事なんてお構いなく話は進んでいった。



話し合いが終わり、台本を渡されてしまい逃げ場がなくなってしまった。



「えぇ〜・・・ヤダァ〜・・・」



机に突っ伏しながら台本に目を通す。



主人公、アレックスとヒロインのヒスイはお互いが好きだけど、素直になれずにケンカをする。



だけど最後はハッピーエンドを迎える、というストーリー。



ザ・王道!みたいな話の流れだった。



「ちゃんと覚えろよ」



「いや、覚えるけどさ〜・・・」



隣にいる二海にだらけながら答える。



別に劇は嫌いじゃない。



セリフを覚えるのだってどちらかと言うと得意な方だ。



だけど、自分がヒロインというのがなんか違和感でしかない。



「私がヒロインとか違和感しかないでしょ?可愛くないし。二海だって絶対笑うって」



「・・・笑うわけねぇだろ・・・俺的には嬉しいし・・・」



ボソッと呟く二海に思わず目が点になる。



二海、嬉しいの・・・?



「っ〜・・・!なんでもねぇ!!読み合わせするぞ!」



二海は、ガシガシと頭をかいたあとに台本を持った。