由紀side
山崎と示し合わせて、山崎は茉弘と、私は二海くんと2人きりになった。
私なりに二海くんにアピールをしていたけど、二海くんは上の空。
挙句の果てには、茉弘の所に走って言ってしまった。
茉弘に負けた、という悔しさが込み上げてきて二海くんを追いかけて行った先で本音をぶちまけてしまった。
近くに、二海くんが──他の生徒が、いたにも関わらず。
告白まがいなことをしてもなお、二海くんは私を意識している様子はなかった。
それどころか、迫られていた茉弘を背にかばい、私に見向きもしてなかった。
美容も気を使った、髪の毛だって毎日丁寧にケアをした、体型だって理想の体重になれるように努力した。
それなのに、振り向いてもらえなかった。
私の方が、茉弘より努力してるのに・・・二海くんは、茉弘の事だけしが見えてませんと言わんばかりの反応。
加えて、中学の時から猫を被っていたことだってバレてしまった。
愛嬌がなくて、嫉妬に狂った女・・・どう考えても、相手になんてされない。
「あーぁ・・・失恋確定だ・・・ぐぅの音も出ない」
体育館裏から逃げるようにして来た校庭へ続く階段で腰掛けながらつぶやく。
ハァ・・・とため息をついた時、後ろから気配がする。
振り返ってみるとそこには茂木さんの姿があった。
茂木さんは無言のまま私の隣に座り込む。
茂木さんも私達・・・というか私が騒いでるから来たわけだし、アレ聞いてるよね。
私が猫かぶってたって、知ったはずだ。
「・・・なんですか、猫かぶり女の無様な姿でも見に来たんですか?それとも醜いやつだとでも罵りに来たんですか?酷い人ですね」
いくら私が嫌味を言っても、茂木さんは口を開かない。
どうせ、この沈黙は肯定だろう。
愛嬌のない私に、なんの可愛さもない。
嫉妬に狂って親友である茉弘に当たって・・・全然可愛くない。
「別に罵ってもらって構いませんよ、私もそう思ってるんで。・・・自分なんて嫉妬に狂った醜く無様な奴だもん」
「・・・それだけ、二海に振り向いて欲しかったってことでしょ。俺はすごいと思うよ。誰かをそれだけ強く想えるの」
茂木さんの言葉を聞いた途端、涙が溢れ出した。
「っ・・・なんで・・・なんでっ・・・!!美容にも気を使ったし、いい子を演じたのにっ・・・!なんでっ・・・!?なんで茉弘なのっ!?茉弘より私の方が頑張ったのにっ・・・!!」
堰を切ったように溢れてくる悔しいという感情。
私は、それを抑えることはできなかった。
「中学の時からっ・・・ずっと・・・頑張ってたのに・・・!」
「うん、そうだね」
そう言って、私を優しく抱き寄せる茂木さん。
少し驚いたけど、トン・・・トン・・・と背中に伝わる温かい茂木さんの手の感触。
それが、私を少しずつ冷静にさせた。
「こんなに嫉妬に狂った女・・・誰も好きになんてならない。・・・嫌われるんだろーなぁ・・・」
「んーん。そんなことないよ。俺、由紀ちゃんのこと好きだもん」
「・・・へ・・・」
かすれ気味の声が出た。
今、茂木さん・・・なんて言った?
突然の言葉に、頭が追いついてこない。
今、この人好きって言った?
猫をかぶってないところを見た直後で?
「今までの愛嬌のある由紀ちゃんも好きだけど、素で何も着飾ってない由紀ちゃんも俺は好きだよ」
「・・・バカじゃないの・・・」
褒められるようなものじゃない言葉を吐きながら、私は顔を茂木さんの胸に伏せる。
わかっている、この人はそういう人だ。
誰にでも優しいし、慰める時は“好き”の一言ぐらい誰にでも言うだろう。
深い意味の無い言葉だ。
だけど・・・だけど・・・今言うのはずるい・・・!!
「うん、でも・・・他の皆も同じだと思うよ」
その言葉を最後に、茂木さんは口を閉じた。
お互いが無言のまま・・・だけど、私の背中をトントンと叩く手は、私が泣き止むまで続けてくれている。
ずるい・・・傷心中にそんなに優しくしないで。
山崎と示し合わせて、山崎は茉弘と、私は二海くんと2人きりになった。
私なりに二海くんにアピールをしていたけど、二海くんは上の空。
挙句の果てには、茉弘の所に走って言ってしまった。
茉弘に負けた、という悔しさが込み上げてきて二海くんを追いかけて行った先で本音をぶちまけてしまった。
近くに、二海くんが──他の生徒が、いたにも関わらず。
告白まがいなことをしてもなお、二海くんは私を意識している様子はなかった。
それどころか、迫られていた茉弘を背にかばい、私に見向きもしてなかった。
美容も気を使った、髪の毛だって毎日丁寧にケアをした、体型だって理想の体重になれるように努力した。
それなのに、振り向いてもらえなかった。
私の方が、茉弘より努力してるのに・・・二海くんは、茉弘の事だけしが見えてませんと言わんばかりの反応。
加えて、中学の時から猫を被っていたことだってバレてしまった。
愛嬌がなくて、嫉妬に狂った女・・・どう考えても、相手になんてされない。
「あーぁ・・・失恋確定だ・・・ぐぅの音も出ない」
体育館裏から逃げるようにして来た校庭へ続く階段で腰掛けながらつぶやく。
ハァ・・・とため息をついた時、後ろから気配がする。
振り返ってみるとそこには茂木さんの姿があった。
茂木さんは無言のまま私の隣に座り込む。
茂木さんも私達・・・というか私が騒いでるから来たわけだし、アレ聞いてるよね。
私が猫かぶってたって、知ったはずだ。
「・・・なんですか、猫かぶり女の無様な姿でも見に来たんですか?それとも醜いやつだとでも罵りに来たんですか?酷い人ですね」
いくら私が嫌味を言っても、茂木さんは口を開かない。
どうせ、この沈黙は肯定だろう。
愛嬌のない私に、なんの可愛さもない。
嫉妬に狂って親友である茉弘に当たって・・・全然可愛くない。
「別に罵ってもらって構いませんよ、私もそう思ってるんで。・・・自分なんて嫉妬に狂った醜く無様な奴だもん」
「・・・それだけ、二海に振り向いて欲しかったってことでしょ。俺はすごいと思うよ。誰かをそれだけ強く想えるの」
茂木さんの言葉を聞いた途端、涙が溢れ出した。
「っ・・・なんで・・・なんでっ・・・!!美容にも気を使ったし、いい子を演じたのにっ・・・!なんでっ・・・!?なんで茉弘なのっ!?茉弘より私の方が頑張ったのにっ・・・!!」
堰を切ったように溢れてくる悔しいという感情。
私は、それを抑えることはできなかった。
「中学の時からっ・・・ずっと・・・頑張ってたのに・・・!」
「うん、そうだね」
そう言って、私を優しく抱き寄せる茂木さん。
少し驚いたけど、トン・・・トン・・・と背中に伝わる温かい茂木さんの手の感触。
それが、私を少しずつ冷静にさせた。
「こんなに嫉妬に狂った女・・・誰も好きになんてならない。・・・嫌われるんだろーなぁ・・・」
「んーん。そんなことないよ。俺、由紀ちゃんのこと好きだもん」
「・・・へ・・・」
かすれ気味の声が出た。
今、茂木さん・・・なんて言った?
突然の言葉に、頭が追いついてこない。
今、この人好きって言った?
猫をかぶってないところを見た直後で?
「今までの愛嬌のある由紀ちゃんも好きだけど、素で何も着飾ってない由紀ちゃんも俺は好きだよ」
「・・・バカじゃないの・・・」
褒められるようなものじゃない言葉を吐きながら、私は顔を茂木さんの胸に伏せる。
わかっている、この人はそういう人だ。
誰にでも優しいし、慰める時は“好き”の一言ぐらい誰にでも言うだろう。
深い意味の無い言葉だ。
だけど・・・だけど・・・今言うのはずるい・・・!!
「うん、でも・・・他の皆も同じだと思うよ」
その言葉を最後に、茂木さんは口を閉じた。
お互いが無言のまま・・・だけど、私の背中をトントンと叩く手は、私が泣き止むまで続けてくれている。
ずるい・・・傷心中にそんなに優しくしないで。



