犬猿☆ラブコンフリクト


茉弘side



二海といつも通りに接せるようになって1週間がたった。



いつも通りとは言っても、口論してるだけなんだけど。



「なぁ、今日ホームルームなし?」



「各自帰れって書いてあったしないんじゃない?」



頬杖をつきながら私の方を向いている二海は、フゥン、と言いながら部活に行く準備を始める。



「テキトー過ぎだろ」



それは私も思う。



「アンタも似たようなもんじゃない」



荷物の準備をしながら口を開く。



二海だって時々テキトーなところあるし。



「俺は真面目です〜、そんなことも理解できない低脳なんですかぁ!?」



「期末はアンタより高い順位でしたぁ!!」



腹立つ返しをされ、ムキになって言い返す。



その時、目の前から山崎くんが歩いてくるのがわかった。



「お話中ゴメンね。辻本さん、ちょっといいかな?」



「どうしたの?」



話を割って入った山崎くんに視線を向ける。



メガネをかけてるから分かりずらいけど、私に話しかける前、二海を睨みつけていたように見えた。



「あのね、ちょっと話があるんだけど・・・今時間いい?」



「うん、いいよ。なに?」



リュックを背負って山崎くんの近くへと行く。



「ここじゃなんだから・・・ついてきてくれる?」



「?いいけど、部活あるから少ししか時間ないよ」



「構わないよ、行こう」



そう言って私の背中に手を回し、押してくる山崎くん。



彼に背中を押されながらたどり着いたのは体育館裏だった。



「それで、話って?」



教室じゃ言い難いことってなんだろうか。



気になって話を催促する。



すると、山崎くんはフフフ、と微笑んだ。



「うん。あのね・・・俺の事、覚えてるかなって思って」



「え、覚えてるよ。山崎優くんでしょ?」



山崎くんの問いに対して首を傾げながら答える。



名前を覚えている確認のためにしては体育館裏に呼び出すのは大袈裟すぎじゃないか?



そんなことを思っていると、山崎くんがプッと吹き出した。



「違う違う、そうじゃなくて。2年前に会ってるはずなんだけど」



そう言いながら、メガネを外して前髪をかきあげた山崎くん。



その見た目は、俳優にいてもおかしくないほど整ったものだった。



2年前に会ってる・・・私と山崎くんが?



うーんと唸りながら過去のことを思い返す。



だけど、全然記憶になかった。



「いつ頃会った・・・?」



「10月に奈良への修学旅行行の時に。俺が女子に逆ナンされて困ってた時に助けに入ってくれたんだよ」



修学旅行・・・?