店内に入ると、ひんやりとした風が頬を吹き抜けた。
さっきまで暑いところにいたせいもあって、とても涼しい。
「んで、何買うんだよ」
「んーとね・・・」
二海の問いかけに、私は手にしたメモを開いた。
「コレ!」
二海に見せると、手元をのぞき込むようにしてメモを見る二海。
顔がいつもより近くて、少しだけいたたまれなくなってしまった。
フイっと視線を逸らして二海が読み終わるのを待つ。
「・・・これの他に、シップも買った方がいいんじゃねーの?確かストックなかったぞ」
のぞき込むをのを辞めた二海は、体を起こして腰に手を当てる。
茂木先輩のメモには書いてなかったけど、主に使っている二海が言うならそうなんだろう。
「そうだね、じゃあそれも買おっか。他に欲しいものとかあるかな?」
「んー、そんなもんでいいんじゃねーの?」
そう言いながら、二海は積まれてあったカゴを1つ手に取った。
あ・・・本当に荷物持ちしてくれるんだ。
てっきり、帰りだけしてくれるのかと思ってたけど。
そんなことを思いながら、メモに書かれているものを次々にカゴに入れていく。
ようやくメモに書かれたものを全て入れることが出来たけど、カゴの中は物で溢れ返っていた。
会計をして袋の中を確認する。
「えっと・・・これで全部だね。買い忘れとかないよね?」
二海に確認をしようと視線をあげると、遠くにある物品コーナーを見つめていた。
二海、もしかして新作のバッシュ気になるのかな?
「新作のバッシュ、見てくれば?」
「!?・・・いいのかよ」
驚いたように私を見たあと、少し遠慮気味に口を開く。
二海の事だ、早く戻らなきゃとか思って遠慮してるんだろう。
「いいよ。私、少し休みたいし。ベンチに座って休憩してるから」
「サンキュー!」
パァっと表情を明るくしながら、シューズコーナー目掛けて入っていく二海。
あんなにキラキラした目で何かをしてる二海、初めて見たな。
そんなことを思いながら、二海を待つために手頃なベンチを探した。
だけど、店内にはめぼしいものはなかった。
外に行くしかないか。



