それから、球技大会での参加種目が決まった。



私も二海もバスケを選択して、無事にメンバー入りを果たす。



去年の決勝に残ったチームのメンバーが集結するなら、今年はいい所まで行くだろうとのことだった。



次の授業では、参加種目ごとに別れて練習を行うことになった。



各々体操着に着替えて、体育館へと集合する。



「バスケに出るのは良いけど、足引っ張んなよ」



バスケットボールを片手に、ドリブルをしながら私に話しかける二海。



確かに二海は現在進行形でバスケ部だけど、私だって元バスケ部だ。



「こっちは中学時代、全国大会に出場した経歴を持つ経験者なんで心配いりませんよーだ!」



こう見えてもバスケ強豪校の出身だ。



多少のブランクはあれど、足を引っ張ることは無いだろう。



「過去の栄光にすがってるだけじゃねーの?」



「だったらその目で確かめればいいじゃんか!」



バスケに参加する皆がシュート練習を始める中、私と二海の言い合いが続く。



「おい、痴話喧嘩は後でやれ〜、シュート練習始めろ〜」



「だから痴話喧嘩じゃねぇって!」
「だから痴話喧嘩じゃないって!」



1人のクラスメイトの言葉に、事前に言うことを確認してたのかってぐらい息ぴったりにハモりながら返答する。



二海をみると、彼も私の方を見たらしく目が合う。



お互いがため息をついたあと、ボールを手にしてシュート練を始めた。



私は元々レイアップが得意だったけど、それ以外のシュートも決定率は悪くない。



シュートをする度にバックボートから跳ね返り、リングの中に吸い込まれるようにして入っていくボール。



キレイなシュートを決められたことに対して、心の中でガッツポーズを取った。



「私、まだ1本も外してないよ」



ゴール下にあったボールを拾いながら、順番が回ってきた二海に声をかける。



足を引っ張るレベルではないんだとすぐにでも訂正したかったからだ。



「練習で決められても本番に決められなかったら意味無いけどな」



「練習出できてることは本番でもできるってことじゃん!」



「はいはい、“元”経験者は黙って俺のシュート見てろっての」



そういうと、二海もブレのない綺麗なフォームでボールをシュートする。



放物線を描きながらバックボートにあたることなくリングの中に吸い込まれたボールは、音を立てて地面に落ちた。



ムカつくぐらい綺麗なシュート。



まぁ、夏休みにあれだけ練習すればフォームも綺麗になるわな。



「シュートはこーやってバックボートに当てずに入れんだよ」




二海は拾ったボールを指先でクルクルと回しながら挑発してくる。



「バックボートにあたってもシュートが決まればいいじゃん」



「そんなんだから大一番って時にブザービートで逆転されんだよ」



「はぁ!?それは去年の話でしょ!?」



腹立つ・・・私だって、好きでバックボートに当ててるんじゃないのに。



ていうか、二海だってシュートが中々入らなくてスランプだわーって言ってたことあったのに人のこと言えないじゃん。



「お前ら、ケンカしないと死ぬの?練習の時ぐらいケンカすんなって」



同じように練習していたクラスメイトに注意され、黙らざるを得なかった。