茉弘side


新体制になってから早2ヶ月が経った。



期末テストも難なく終わり、結果発表の日。



私はこっそりと隣の席の二海の方に視線をやった。



二海も私の視線に気付いたのか、こちらを見る。



そして、どちらともなく通知表を見せあった。



私は31位、二海は32位だった。



「勝った・・・!!!」



「負けた・・・!!!」



グッと握りこぶしをつくってガッツポーズをする。



二海は、頭を抱えて上を向いて悔しがっていた。



中間では同じ順位だったけど今回は私の方が上だ。



まぁ、いうて1点差なんですけどね。



でも、勝ちは勝ちだ。



勝ち誇ったように二海をみると、悔しそうにこちらを見る二海と目が合う。



「これでどっちが上かハッキリしたね、二海くんよ」



「たった1点差で勝ち誇ってんじゃねぇよ単細胞」



「はぁ!?私の方が上なのは変わんないでしょうが!!この低脳!!」



いつものごとく言い争いをしていると、アハハとクラス中が笑い出す。



何事かと思って言い争いを中断すると、1人の男子が口を開いた。



「出た、痴話喧嘩!」



痴話喧嘩?



痴話喧嘩って恋人同士のケンカのことだよね・・・?



「痴話喧嘩じゃねぇっつーの!!」
「痴話喧嘩じゃないっつーの!!」



二海と同じタイミングで同じ言葉を発してしまう。



思わず二海の顔を見ると、彼も同じように私を見つめていた。



「真似すんな!!」
「真似すんな!!」



お互いを見てキレるけど、これもキレイにハモってしまう。



意図してやってる訳じゃないのにどうしてこうもキレイにハモるのかな。



「アハハハハ、仲良しかよ!!面白ぇなぁ!!」



息ぴったりな私達をみてさらに笑い出すクラスメイト。



いたたまれない空気になった教室をどうにかしようと、二海の方を向いた。



「アンタが口出ししてくるからこんなことになってるんだよ!」



「お前だってつっかかってくるだろうが!」



「じゃあ大人しく引き下がればいいんじゃないですかね!?」



「お前が引き下がればいい話なんじゃねーのかよ!」



改善しようとしたらさらに二海との言い合いが加速する。



漫才かよ!とさらに面白がるクラスメイト達。



うん、収拾がつかないぞ。



困り果てた私は助けを求めようと由紀の方に視線を向ける。



すると、なぜかすごい形相でこちらを見ている由紀の姿があった。



え、怒ってる・・・?あのマドンナで有名な由紀が・・・?



由紀から視線を外し、ちょっと考える。



なにか怒らせるようなことしたかな・・・。



思い当たらない。



「・・・ほら、皆いい加減にしないと可哀想だよ。先生も来るし、皆席着いて」



そんなことを考えているうちに、由紀が立ち上がってみんなに言い聞かせる。



その時の表情は既にいつもの由紀だった。



あれ、怒ってない?



不思議に思いながら、席に着いた。