犬猿☆ラブコンフリクト

茉弘side


様々な相手との練習試合を経て、インターハイ当日。



私はというと、体調を崩して参加出来なかった。



と言うよりかは、途中で体調が悪くなって帰らされたって感じなんだけど・・・。



家に帰ってからしばらくして来た由紀からの連絡ではベスト8だったとの事だった。



大会で負けた3年生は引退し、新体制に入った。



とは言っても、コーチ代わりだった茂木先輩は部に残って次の主将に引き継ぎをするみたい。



結局、中島さんって人は戻らずに引退しちゃったけど・・・私、いつまでマネージャーやればいいんだろ?



私は中島さんの代わりとして入った身だし、引退したなら私はおさらばした方いいのかな?



由紀はやめないで欲しいって言ってたし、出てってくださいって言われるまでは居てもいいか。



休み明けの学校でそんなことを考えながら椅子に腰かけ、窓の外を眺める。



「なぁ、辻本。お前今日の練習来んの?」



声の主を知るために顔を上げると、そこに居たのは二海だった。



この質問、前にもされた気がする。



「え、行くけど」



私の隣の席に座る二海を見ながら答えると、パァっと表情が明るくなったような気がした。



「うーわ、また不味いドリンク確定か〜!」



少しテンションの高めな二海の回答と前にされたことがある。



いわゆるデジャブだ。



「そんなに不味い不味い言うなら由紀にドリンク作ってもらえばいいじゃん」



「うわ、そうやって三島に仕事押し付けるんだ〜、職務怠慢〜」



やけにテンションの高い二海に押され気味になる。



今の二海に何言っても言い返されるな。



「はいはい、じゃあ私が作るから不味いドリンクで我慢してくださーい」



「ふふん、俺は優しいから我慢してやるよ」



全く・・・何様だよ。



まぁ、楽しそうだからいいけど。



「優しい人は自分で優しいって言わないんだよ」



頬杖をつきながら隣の席に座る二海を見つめる。



二海も私のことを見ていたようでバチりと視線があった。



「いや、俺優しいだろ」



「初対面に暴言かましてきた人が何言ってんの?」



私は忘れてないぞ・・・初対面でゾウ並のプレスされたとか骨が軋むとか言ってたよなコイツ。



それが優しい判定されるならこの世界中優しい人だらけになるわ。



「は?初対面はそんなに暴言かましてないだろ。煽りはしたけど」



「骨が軋むだのゾウ並のプレスだのイノシシだのって言ってきたのどこの誰よ!」



「はぁ?」



二海は、心底驚いたような顔をしていた。



なんでそんな“俺心当たりありません”みたいな顔してる訳?



絶対忘れないからね、私。



「・・・もしかして、忘れられてる?俺」



「散々暴言吐かれたこと忘れてないけど!?」



「・・・去年の球技大会だよ、初対面は」



去年の・・・球技大会?



確か、去年の球技大会は決勝の時にバスケ部が居るチームと当たって逆転負けしたな。



バッシュとバスパン履いてたからって散々煽ってきてる人がいて・・・その人がブザービート決めて・・・。



動くたびになびくサラサラした髪で・・・長身で・・・バスケ部・・・あれ?



「・・・決勝で当たった相手・・・二海だったの・・・?」



「よーやく思い出したか、単細胞」



あの時の腹立つサラ艶髪のバスケ部って、二海だったの!?



二海に思いっきりバカにされたけど、驚き過ぎて声も出なかった。



「だから、あの時は2回目。初対面で暴言は吐いてませんー」



「いや、ほぼ初対面みたいなもんじゃん!」



1度顔合わせたぐらいの間柄で交わしていい会話じゃなかったって絶対!



でも・・・良く覚えてたな、二海のやつ。



普通、試合した相手のこと覚えてるか?



私はブザービートで負けたってこと以外、完全に忘れてたんだけど。