練習試合が始まると、うちのチームの様子が変わった。
主に、二海と茂木先輩。
なんか、いつにも増して気合いが入っているみたい。
タイムアウトを取っても、ギラギラした目はそのままだった。
「なんか今日、皆気合い入ってない?」
スコアを書いている由紀がコソッと私に声をかけてくる。
確かに皆・・・というか、二海と茂木先輩が気合い入りまくってる気がする。
やけにさっき声かけてきた人たちマークしてるし。
「私もそう思ってた。特に二海と茂木先輩ね。・・・大会が近いからかな?」
「・・・私達にちょっかいかけたから、仕返しでもしてるのかも」
なーんてね、と冗談を話す由紀。
仕返し・・・ね。
茂木先輩ならありえるかも・・・由紀のこと好きみたいだし。
でもそれが気合入ってる理由なのだとしたら二海はなんでだろ。
由紀に気があるとか?
由紀と二海って同じ中学だって言ってたし。
だとしたらありえるかも・・・。
あの性悪二海が誰かのために頑張るなんて。
・・・なんか、それ考えるとちょっとモヤモヤするな。
モヤモヤする理由は分からないけど。
「理由はなんにせよ、気合いが入ってるならいいんじゃない?」
「それもそうね」
ピピーッ
私と由紀が話している間に、試合は終了した。
結果は私達のチームの圧勝。
何度か試合をしたけど、結果が変わることはなかった。
「お疲れ様です、先輩」
「あぁ、うん。ありがとう。茉弘ちゃんもお疲れ様」
タオルとボトルを手渡しながら、相手チームを見送った茂木先輩に声をかける。
タオルを首にかけてボトルを手に取る茂木先輩。
「なんか、今日気合い入ってましたね」
「え?あはは、バレちゃった?ちょっと、色々思うところがあってさ」
照れくさそうに頭をかく茂木先輩。
なんで照れくさそうにしてるんだろ・・・。
「思うところ?」



