犬猿☆ラブコンフリクト


練習が終わり、後片付けの最中。



私は考え事をしていた。



茂木先輩が由紀のことを・・・好きなのかもしれない、と。



いや、まだ決まったわけじゃないけど・・・由紀に対する態度はまさにそれだった。



好きな人がいるかなんて聞くのは、大抵はその人のことが気になるから聞くわけで・・・。



茂木先輩が由紀をねぇ・・・。



「茉弘、さっきからぼーっとしてるけど・・・どうかしたの?」



「えっ!?」



由紀に急に声をかけられ、ビクッと肩を揺らす。



「あー・・・ちょっと考え事をね。気にしないで、そんなに大したこと考えてなかったから!」



両手を前に出してブンブンと振りながら答える。



正直に言うならあなたのことを考えてました。



もっと詳しく言うなら、茂木先輩は由紀のことを好きかもしれないのかって考えてました。



中高と同じ学校の仲の良い先輩の好きな人・・・少しだけ、気になってしまう。



「そう?それにしては真剣に考えてたようだけど?」



「あはは・・・」



やばい、この感じは隠しきれないかもしれない。



そんなことを考えながら、笑って誤魔化そうとする。



「笑って誤魔化してもダーメ、何考えてたの?」



でも、由紀は誤魔化されてくれなかった。



ですよね〜・・・これは正直に答えるしかないか・・・。



「白状しますよ・・・由紀は好きな人とかっているのかなー・・・なんて考えてました」



降参、と言わんばかりにため息をつく。



その言葉を聞くなり、由紀はピクっと反応した。



お、もしかして・・・いる?好きな人。



「・・・もう、そんなこと考えてたの?いるわけないじゃん」



由紀から返ってきた答えはNOだった。



今の反応、いると思ったんだけどな・・・。



「ふぅん・・・そっか」



ちょっと拍子抜けかも。



「ほら、片付け終わったんだから、早く帰るよ」



「あ、うん!」



由紀に急かされるようにして、私は帰り支度を始めた。