ボトルを作るため外に来たけど、いつも2人でやってる量を1人で作るとなると少し時間がかかりそうだ。
長丁場を覚悟しながらボトルを手に取る。
粉を入れてボトルを作っていると、ガラッと音を立てて扉が開いた。
「そんなに早く来てもまだドリンクできてないよ」
二海の催促がまた来たか・・・そう思いながら顔をあげずに水を入れる。
「わかっているよ。だから手伝いに来たんだ」
二海とは違う声色に、驚いて顔を上げる。
そこに居たのは二海ではなく、茂木先輩だった。
「なっ・・・茂木先輩!?」
「その様子だと、俺じゃなくて二海が来たと思った?」
「は、はい・・・すみません」
私の近くに寄りながらフフフ、と笑う茂木先輩。
びっくりした・・・まさか先輩が来るとは思わなかった。
「いいよ、いつも二海が来てるんだもん。そう思っても仕方ないよ」
そう言いながら私の隣に並び立ち、ボトルを手に取る。
「あ、私やりますよ。先輩は練習に戻ってもらって大丈夫なんで・・・」
「この量を1人でやるのは大変でしょ?俺も手伝うよ」
「・・・じゃあ・・・お願いします」
ボトルを手放そうとしない茂木先輩にドリンクを作るのを手伝ってもらう。
やっぱり優しいんだな、茂木先輩。
ドリンクを急かしてくるだけの二海とは違うな。
「・・・ねぇ、茉弘ちゃん」
「なんですか?」
ドリンクを作っていると、茂木先輩が手を止めることなく私に声をかけてくる。
どうしたんだろ・・・なんか、様子が・・・。
「由紀ちゃんって、好きな人いるのかな?」
「え?どうしたんですか?急に」
突然の由紀の話題に、少し驚く。
由紀の好きな人・・・かぁ・・・。
聞いたことないな。
「まぁ・・・私は知りませんけど・・・それがどうかしたんですか?」
「いや・・・ちょっと気になっただけなんだ。気にしなくていいよ」
そう言って、ドリンク作りに戻る茂木先輩。
先輩、なんで由紀の好きな人がいるかなんて聞いてきたんだろう。
気にしなくていいよ、と言われたものの気にはなる。
ドリンクを作りながらも、ずっと気になり続けていた。



