体育館につくなり、茂木先輩が私達の所に駆け寄ってきた。
「良かった、ちょっとお願いがあるんだ」
「おねがい?」
私達の近くに来た茂木先輩のお願い。
心当たりがない私は首を傾げた。
「物品の買い出しをお願いしたいんだ。1人はボトルを作る係として残ってもらいたいんだけど・・・」
うーんとうなりながら茂木先輩が口を開く。
備品の買い出しか。
最近少なくなってるもの多かったからな。
「なら、私が行きます。茉弘はボトル作って」
「わかった、気を付けてね」
茂木先輩の言葉に立候補する由紀。
その言葉に、素直に頷いた。
「由紀ちゃんありがとう。買うものはこのメモに書いてあるから」
「わかりました」
先輩からメモを受け取ると、そさくさと買い出しの準備を始める由紀。
「だけど、お店がある周辺は治安が悪いし1人じゃ心配だよね・・・うーん・・・」
そういうとうーんとうなり始める茂木先輩。
確かにこの近くって治安あんまり良くないイメージだけど・・・そこまでかな?
過保護な気もするけど・・・。
「・・・そうだ、二海。一緒に買い出し行ってくれるかな。気分転換も兼ねて」
「え、俺?」
白羽の矢が立ったのは、ボールを磨いていた二海だった。
突然名前を呼ばれ、キョトンとした表情を浮かべる二海。
「二海くん、手伝ってくれる?荷物も多くなりそうだし、手伝ってくれると嬉しいんだけど」
由紀が二海のことを見つめながら少しだけ首を傾げ、お願いをする。
こんなに可愛らしくお願いされたら断れないんじゃない?ってぐらい可愛いお願いの仕方だった。
「いや、遠慮します。最近スランプ気味なんでさすがに練習しねぇと」
だけど、二海から帰ってきた返答はNO。
「・・・・」
由紀の方を見ると、少しだけわなわなと震えているようだった。
どうかしたのかな?
「そうだよね・・・じゃあ、俺が行くよ。さすがに荷物も多いし」
そういうと、茂木先輩は自ら名乗りを上げた。
「いえ、大丈夫です。茂木さんも練習ありますし、1人で行ってきます」
由紀は、少し冷たく感じる口調で茂木先輩の申し出を断った。
由紀、なんか変・・・?
「・・・そう?じゃあ、お言葉に甘えてお願いしようかな」
茂木先輩は由紀の態度は気にも止めて無い様子で、買い出しに行こうとする由紀を見送る。
私は、由紀の態度が少し引っかかりつつもボトルを作りに外へ出た。



