部室に着くと、もう既に何人かが到着しているようだ。



「おはようございます、茂木先輩」



「あ、茉弘ちゃん。おはよう。来てくれてありがとね」



部活の準備のために荷物を持とうとしているところに挨拶をすると、パッと顔を上げる茂木先輩。



「いえ、私なにすればいいですか?」



「じゃあ、そこの荷物持てるかな?ちょっと重いかもしれないから無理しなくていいよ」



茂木先輩に言われた荷物は、確かにぎっしり物が入っていて重そうだ。



持ち手に手をかけ、意を決して持ち上げる。



想像してたよりだいぶ重たい・・・けど、このくらいなら私でも持てそうだ。



「大丈夫です、運べます」



「ありがとう、助かるよ。どうしても先に体育館の方のセッティング済ませちゃいたいからさ」



そういうと、茂木先輩も2つカゴを重ねて持ち上げた。



うわ・・・あの重いものを2つも持ち上げちゃった。



すげー力持ち・・・。



「じゃあ、こっち持ってきてくれる?」



「はい」



歩き出した茂木先輩の後を追いかけるように歩いていく。



だけど、やっぱり想像してたより重たい荷物のせいで少し歩くのがおぼつかない。



何とか茂木先輩に追いつこうと小走りをするけど茂木先輩はスタスタと歩いていってしまう。



早いよ〜。



心の中でそう叫んだ時、別のことをしていた二海と目が合った。



二海は私の方に近付くなり、持っていた荷物をずいっと差し出してきた。



「なに?」



「・・・こっち持ってけよ。重いんだろ?・・・俺コレ持つから」



そういうと、自分の持っていた荷物を床に下ろし、私の荷物の取っ手を掴んだ。



奪い取られる荷物・・・そして、代わりに差し出された二海の持っていた軽そうな荷物。



「あ・・・ありがと」



気恥しい気持ちになりながら二海にお礼を言って床に置かれた荷物を持つ。



さっきのに比べたらかなり軽い。



これなら私でも持っていけそうだ。



「野蛮人に持たせてたらこんな精密機械壊れちまうかもしんねーからなっ」



「なっ、誰が野蛮人なの!?」



「お前の事だよ、野蛮人」



人の事野蛮人呼ばわりするとか・・・有り得ないっつーの。



でも・・・そんなこと言いながらなんだかんだで助けてくれるんだよな・・・。



照れくさくて悪態ついてるだけ・・・とか?



いやいやいや、それは無いか。