翌日──



土曜日だと言うのに、朝早くに起きて学校へと向かう。



昨日練習を手伝ってくれと言われた手前、行かない訳にはいかないだろう。



そんなわけで電車で学校に向かってるわけだけど・・・眠い、とにかく眠い。



いつもなら余裕で寝てる時間だからか、さっきからあくびが止まらない。



「ふぁ〜・・・ねっむ」



「うっわ、でっけぇ口。カバみてぇ」



近くに二海がいたらしく、声をかけられる。



朝っぱらから悪口ですか・・・本当、こいつは変わらないな。



「うるさいな・・・いつもこの時間寝てるから眠いんだよ」



怠惰(たいだ)な生活してるからだろ?5時に起きて走ってる俺を見習え」



つり革に捕まりながらドヤ顔で私に語りかけてくる二海。



5時に起きてランニングとか、バスケに熱中してた中学の時ならしてたかもしれないけど、今では考えられない。



「5時って・・・ジジィじゃん」



「体鍛えるなら当然だろ」



そういうもんなのか・・・なんて考えている最中も眠気が襲ってくる。



あーやば、眠すぎて立ったまま寝れそう・・・。



「・・・おい、立ったまま寝るなよ」



「わかってるよ・・・でも眠いのは仕方ないじゃん」



目を擦りながら重たいまぶたを何とか開ける。



昨日寝るの遅かったからな〜。



あぁ・・・出来ることなら今すぐ布団にダイブしたい。



「あほ面さらして寝るのはいいけど、もうすぐ着くぞ」



「マジ?なんかいつもより早くない?」



ぐーっと背伸びをして縮こまった体を伸ばす。



気のせいか、少し眠気が覚めたような気がする。



「気のせいだろ、ほら降りんぞ」



プシューと音を立てて最寄り駅に止まる電車。



私達は荷物を抱えなおして電車からおりる。



「にしても、アンタがストイックに自主練してるとは思わなかったわ。しかも5時起き」



てっきり、部活の時間だけ練習してるだけなんだと思ってたけど・・・。



人は見た目によらないみたいだ。



「まぁな。次期エース候補だし?」



「・・・それ、テキトー言ってない?」



駅内の階段をのぼりながら二海の言葉を疑う。



どう考えても自称でしょ。



まぁ、動けるし技術もあるけど・・・次期エース候補は言い過ぎだろう。



「んな訳ねーだろ、茂木さんにも期待されてんだぜ、俺」



「はいはい、良かったですね」



軽口を叩きながら、二海と共に改札を出て学校へと向かった。