ボトルを作り終わり、体育館の中に戻る。
ちょうど休憩を挟んだらしく、みんながベンチに腰掛けたりタオルで汗を拭いたりしていた。
「お待たせしました、ボトルです」
由紀がお得意のにっこりスマイルを浮かべながらドリンクを所定の場所に置く。
その後に続いて、私もドリンクのカゴを置いた。
サンキュー、と嬉しそうにボトルを取り飲んでいく部員たち。
茂木先輩もお礼を言ってから私の作ったボトルに口をつける。
二海、口つけた瞬間にマズいって言ってたよな・・・。
「茂木先輩、そのボトルマズいですか?」
散々二海にマズいと言われ続けたせいもあって気になってしまい、茂木先輩に確認する。
「え?ちょうどいい甘さで美味しいよ。どうして?」
ドリンクを一口のみ、口を少し離しながらキョトンとした顔で聞き返す茂木先輩。
そんな彼にどう言うべきか悩んで口を開いた。
「いや、私の作ったボトルがマズいっていう奴がいるから、マズいドリンク飲ませるのは申し訳ないなって思って。・・・美味しいなら大丈夫です」
「・・・それ言ったの二海?」
「正解です。なのに私の作ったボトル持ってくんですよね」
正直に答えると、茂木先輩はうーんと顎に手を当てて考え出す。
「全く・・・しょうがない奴だなぁ・・・。まぁ、気にしなくていいと思うよ。茉弘ちゃんが作ったドリンク美味しいから」
「はぁ・・・」
茂木先輩の言葉に無理矢理納得する。
美味しいヤツをマズいっていうか?普通。
いや、アイツに普通を求めちゃいけないのかもしれない。
「よし、休憩終了!練習再開すんぞ!」
茂木先輩の言葉で皆は練習へと戻っていく。
私はそんな彼らの背中を見つめていた。



