その時、またしてもボールが私の方に向かって飛んでくる。
またか・・・そう思い弾き返そうと手を出そうとした時、ふわりと柔軟剤のいい香りが鼻をつくのと同時に肩に手を置かれてグイッと引き寄せられた。
べシンッ・・・!
「今日、やけに流れ玉多いな・・・気をつけろよ、辻本」
私を守るかのように肩を抱き、ボールを弾き落とす二海。
だけど、二海の腕の中で硬直するしかできなかった。
「・・・?おい、聞いてんのか──・・・」
そう言って私の方を見つめる二海。
あまりの距離の近さに息を飲んだ。
「っ──・・・!?わ、わりぃっ!」
ワンテンポ遅れて二海も距離が近いことに気づいたらしく、光の速さで私の肩から手を引っ込め、軽く手を挙げるようにして固まってしまう。
こいつのことだから“どんくさい”とかって文句のひとつでも言われるかと思ってたのに。
「おい二海ぃ!いつまで休んでるつもりだぁ!?練習戻るぞー!」
「えっ!?あっ、ウィッス!」
先輩に声をかけられ、ビクッと肩を震わせたあと我に返ったらしく、練習に戻っていく。
・・・びっくりした・・・。



