えっ・・・?なんでこいつがいるの・・・!?
まさかこいつもバスケ部・・・!?
どうしよう、今すぐ帰りたい。
「これから世話になるだろうから、仲良くしてくれよ!」
「はいっ!!よろしくお願いしゃす!!」
部員の声量が大きすぎて軽く耳が痛い。
運動部特有の元気ハツラツな挨拶って自分がしてる時はいいけど、されるのはつらいものがあるな。
「よし、俺からは以上な。さっ、アップ始めんぞ〜!」
茂木先輩がそう言い放つと次々にウォーミングアップに入っていった。
「茂木さんが助っ人を頼んだからって言ってたけど、茉弘の事だったんだね」
茂木先輩達がウォーミングアップを始めてすぐにセミロングの髪をくくり、学校指定のジャージを着た由紀がタイミングを見て声をかけてくる。
「うん。ついさっき、帰り際に”マネージャーの仕事を手伝ってくれ”って頼まれたの。OK出したらすぐにここに連れてこられたからジャージに着替える暇もなくて・・・」
苦笑いを浮かべながら由紀にこれまでのことを簡単に話す。
なんか、由紀がジャージなのに私だけ制服ってのがちょっと違和感がすごい。
制服、着替えたいな。
「あっ、そうそう。茉弘ちゃん、一応ジャージに着替えておいで。更衣室の所に中島さんの予備のジャージがあったはずだから、それ借りな」
さすがは茂木先輩、私の思考を読んだようにアップを取りながら体育館のすみっこの方にある女子更衣室を指さしながら声をかけてくる。
中島さんのジャージか・・・少し気が引けるけど、この後の仕事を考えたらジャージの方が動きやすいよね。
「はい!・・・じゃあ、ちょっと着替えてくるね」
「あ──・・・うん!いってらっしゃい」
由紀は私に何かを言いたそうな素振りを見せたが、すぐに笑みを浮かべる。
少し不自然な由紀の様子を不思議に思いながら、女子更衣室へと足を運んでいった──・・・。



