原田くんの赤信号

 深呼吸をした。
 大きく一回、吸って吐いた。

 よし、言うっ。

「原田くんが、好きなの……」

 緊張すると、人って声が震えちゃうのかな。

「わたしは、原田くんが好き……」

 それとも好きの気持ちが大き過ぎて、瞳から溢れそうになる何かを堪えるから、震えちゃう?

 泣きそうなのをグッと堪え、わたしは戸惑う原田くんを見つめていた。

 原田くんは「え……」と声を漏らすとほぼ同時に、首を小さく横に振った。

 ああ。やっぱりフられてしまう。
 そう思った時だった。

「嘘だろ?瑠美……」

 動きを止めた原田くんは、わたしを疑ってきた。

 どうして嘘だなんて言うの?と束の間思うけれど、原田くんを信じなかったことがあるわたしは、強くは出られない。

「ほんとだよ」
「う、嘘だ」
「本当だってばっ。嘘なんかじゃない、わたしは原田くんが好き」

 交わる視線。
 時さえ止まりそう。

 原田くんはまだ、好きだと言うわたしに納得がいかない様子。

「本当、に?」

 だけど、わたしも負けない。必死にこの想いを伝える。

「本当だってばっ!」
「まじ!?」
「まじ!」
「嘘だ!」
「嘘なんかじゃない!わたしは原田くんが大好き!!」

 こんなやり取りを何度か繰り返して、息だって切れそうになった時。

 バチン!

 原田くんが突然、自身の頬を思い切り叩いた。