え?
そのたった一文字が声として発せられなかったのは、原田くんの思いがけない言葉に、驚愕しすぎたせいだろうか。
原田くんの真意を探るように、上目で彼を見るが、彼はその表情を崩さない。
「福井に俺、聞いたんだ。『お前、瑠美と付き合ってんの?』って。そしたら福井の奴、『付き合ってない』とか言ってくるからさ、今回の告白はダメだったんだろ?バレンタイン、せっかく家まで渡しに行って、せっかく生きて帰ってこられたのにな」
原田くんが過去に戻ったのは、今回で十一回目。十一回目のわたしではない十回目までのわたしは、おそらく毎回福井くんへ本命チョコレートを渡して、告白をしていたんだ。
「でも福井は今のところフリーだから、瑠美にもまだチャンスあるぞっ。俺、応援してるよっ」
爽やかに励まされ、ドクンと胸で、嫌な鼓動がうつ。
「ち、ちが……」
違う。違うの原田くん。十一回目のわたしは福井くんに告白なんてしてないの、しなかったのっ。
そう今すぐ真実を伝えたいのに、一歩下がった原田くんが「じゃあな」だなんて手を振ってくるから、どうしたらいいのかわからなくなってしまう。
わたしが好きなのは福井くんじゃない、原田くんなの。
たったのそれが言えない自分。最悪だ。
「は、原田くんっ!」
名前を呼ぶだけで精一杯。「瑠美ー」とのんびり返してきた原田くんは、もう一度「じゃあな」と言う。
「また明日な、瑠美」
小さくなっていく原田くんの後ろ姿。
わたしはチョコレートの入ったカバンを、胸元でぎゅっと抱えた。
そのたった一文字が声として発せられなかったのは、原田くんの思いがけない言葉に、驚愕しすぎたせいだろうか。
原田くんの真意を探るように、上目で彼を見るが、彼はその表情を崩さない。
「福井に俺、聞いたんだ。『お前、瑠美と付き合ってんの?』って。そしたら福井の奴、『付き合ってない』とか言ってくるからさ、今回の告白はダメだったんだろ?バレンタイン、せっかく家まで渡しに行って、せっかく生きて帰ってこられたのにな」
原田くんが過去に戻ったのは、今回で十一回目。十一回目のわたしではない十回目までのわたしは、おそらく毎回福井くんへ本命チョコレートを渡して、告白をしていたんだ。
「でも福井は今のところフリーだから、瑠美にもまだチャンスあるぞっ。俺、応援してるよっ」
爽やかに励まされ、ドクンと胸で、嫌な鼓動がうつ。
「ち、ちが……」
違う。違うの原田くん。十一回目のわたしは福井くんに告白なんてしてないの、しなかったのっ。
そう今すぐ真実を伝えたいのに、一歩下がった原田くんが「じゃあな」だなんて手を振ってくるから、どうしたらいいのかわからなくなってしまう。
わたしが好きなのは福井くんじゃない、原田くんなの。
たったのそれが言えない自分。最悪だ。
「は、原田くんっ!」
名前を呼ぶだけで精一杯。「瑠美ー」とのんびり返してきた原田くんは、もう一度「じゃあな」と言う。
「また明日な、瑠美」
小さくなっていく原田くんの後ろ姿。
わたしはチョコレートの入ったカバンを、胸元でぎゅっと抱えた。



