原田くんの赤信号

 薄暗くなった空で、鳩が三羽飛んでいる。
 ベンチから見える木からは、枯れ葉がひとひら舞っていた。
 その近くを歩いているのはおばあちゃん。小さな犬と一緒にのんびり歩きながら、優しい顔で、何かを話しかけている。

 原田くんがあの時くれた言葉を帳消しになんてするから、こんな長閑な公園でさえ、地獄に思えてしまったよ。

「で、なに。瑠美の話は」

 呆然としていると、原田くんから名前を呼ばれ、視線をギギギとぎこちなく彼に戻した。

 痛くもないかゆくもない、けろっとした表情で「忘れて」だなんて言えた原田くんの気持ちは、わたしにない。

 もしかして、あなたが翔平の好きだっていう子?

 そう言ってくれた原田くんのお母さんは、憔悴していたわたしを宥めるために、偽っただけなのだろうか。

 翔平が車からあなたを守ったのは、翔平が自分の意志でしたことだからね。

 原田くんが、自分の意思でしたこと。
 それは確かな事実だけれど、わたしを愛するが故の行動ではなかった。

 過去に戻れる能力を手にした自分へ、原田くんが課した使命。

 優しい原田くんだからこそ、友だちであるわたしの死を見過ごせなかった。助けなくてはいけないと、強く思ってくれた。

 辿り着いてしまったその結論にはすごく、頷けてしまう自分がいた。