原田くんの赤信号

「何回くらい戻ったの?」
「んー……十回くらい、かな?今回で十一回目だったと思う」
「え、じゃあそんなにわたし、いっぱい死んだの!?」
「……そうだよ。もう死ぬなよ、絶対」

 原田くんは、わたしが死んだ話になると、少し辛そうにした。わたしだって原田くんが目を覚まさず寝たきりの状態の時を思い出せば、どうしようもないくらい悲しくなるから、おそらくそれと同じ気持ち。

 そんな原田くんに、わたしはあえて明るく言った。

「そりゃ、テストも満点とるわけだねっ」
「おう。もうどの授業も聞き飽きたよ」
「あはははっ。いいなあ百点、とってみたい」
「瑠美じゃ無理だなー」
「ひっど」
「あははっ」

 勉強が苦手な原田くんが満点をとるほど、何度も戻ってくれた過去。
 わたしの心は、原田くんへの感謝でいっぱいになった。

「もう無理だって諦めようって思ったことはないの?」

 早く告白しなさいよと心の中、もうひとりの自分が急かすのに、質問は止まらない。

「もうわたしなんか助けられない仕方ない。そう思ったことはない?」

 原田くんは「実は……」と額を掻くと、「ぶっちゃけ一度だけある」と、気まずそうに言った。

 その瞬間、ほんの少しショックを受けるけれど、何回チャレンジしても未来が変わらないならば普通はそうでしょ、とすぐに思い直す。

「でもね」

 原田くんは続ける。

「でも、諦めないで頑張ろうって思わせてくれたのは瑠美なんだよ」
「え、わたし?」
「そう。瑠美が俺を、励ましてくれた」

 未来の何も知らないわたしが、わたしを諦めかけた原田くんを励ますとは、一体どういうことだろうと考えていると、原田くんは「あの日だよ、あの日」と恥ずかしそうに笑っていた。

「俺が三組のみんなにめっちゃ心配されてたあの日。あの時の俺、未来から戻って来たばっかだったんだよね」