原田くんの赤信号

「原田くんだけなの?何度も過去をやり直してる人」

 会ってすぐ告白する度胸はなくて、とりあえずはずっと聞きたかった質問を口にした。

「なに。唐突だな」
「だって気になるもん」

 シャリッとひとくちアイスを食べて、原田くんは話す。

「それ、俺もどうなんだろって不思議に思って、それとなく友だちに確認してみたりしたんだ。だけど、みんなぽかーんって感じだった。なに言ってんのコイツみたいな目ぇしてたから、たぶん俺しか、過去には戻れていない」
「そうなんだ」
「瑠美にも俺、聞いたことあったじゃん。『心当たりないの?』って」

 どうして俺が二月十四日に瑠美と会いたいか、心当たりないの?
 ない。思い当たることなんか、ひとつもない

 わたしがまだ何も知らなかった頃の会話を思い出して、申し訳なくなる。

「うん、聞かれたかも……」
「でも結局、俺だけだった」
「うん……」

 思い当たること、ひとつもない。

 わたしがそう返した時、原田くんはがっくりと肩を落としていた。

 わたしもアイスを口に運ぶ。

「どうやって、過去に戻ったの?」

 そう聞くと、原田くんは「無意識」と即答した。

「前にも言ったけど、瑠美のこと考えながら寝たら無意識に戻れてたんだ。方法とかやり方とか、俺もよくわかってないよ」
「そっか……」

 原田くんが私を考えてくれた。過去に戻れちゃうくらい強い気持ちで。

 私の胸からは、また小鳥が囀った。