原田くんの赤信号

「ところでホワイトデーのプレゼントは、なにがいい?」

 マンションの一階、わたしをエントランスまで送ってくれた福井くんが聞く。

「俺、女の子の趣味とか興味あるもの、あまりわからないから。瑠美が欲しいのあれば、リクエストしてくれた方が助かるっ」

 わたしは「うーん」と唸った後に、こう言った。

「ほんとに、ほんとになにもいらないの」
「えー、そういうわけには……」
「だって、申し訳ないもんっ」

 そう。だって本当、申し訳なくなったんだ。大本命で用意していたチョコレートが、義理に成り下がってしまったのだから。
 義理チョコは、赤い包装紙の原田くんの方だったはずなのに。

 胸の前で腕を組み、どうしようかと黒目を斜め上に彷徨わせた福井くんは、突然何かを閃いたように、手を叩く。

「じゃあさ、高校生なら誰でも絶対使う文房具セットとかはどう?ボールペンとかマーカーとか、ノートとかメモ帳とか色々入ってるやつ。それなら瑠美、貰っても困らないだろ?」