22歳に戻ったわたしだったが、その年の夏休みまではハインツと共に養成学校で過ごした。

 生徒たちは実は、わたしとハインツが夫婦だと知っていたらしい。
「でも18歳に戻っちゃったってことだったんで、それは言ったらダメだって口止めされていたんです」
「でも毎日お二人で見つめ合ってラブラブでしたよねー」
「みんな知っていたから、燈夜祭のオーブ飛ばしのとき誰もハインツ先生を誘わなかったんですよ? 気づいてなかったんですか?」

 どうやら多感な十代の若者たちに随分と気を遣わせていたようで、何とも気恥ずかしい思いをした。

 
 シャドウをライトと引き合わせてみたところ、ライトはすぐにその猫がシャドウだとピンときたようだ。
 二匹は、影のときでもそうしていたように互いの額をこすりあわせてすぐに打ち解けた。

 きっとこの子たちは愛を育み、近い将来夫婦となって子供を作るだろう。
 愛を知らずに闇に染まった凶悪な魔物の姿はもうどこにもない。

 シャドウとライトは、わたしたち夫婦が責任をもって世話を続けることとなった。


 半年後。
 わたしとハインツは揃って魔導士第2師団に復職した。

 その初出勤の日、シャドウは常に目の届くところにと言われているため、ライトとシャドウも一緒に連れて行ったところ、団員たちが「かわいい!」と言いながら集まって来た。

 少し遅れて出勤してきたフレッドが、ハインツの腕に抱かれているシャドウを見て首を傾げる。
「あれ? ハインツ先輩、いつものブサ猫はどうしたんですか? この子の方が断然可愛いですね!」

 団員たちは、あのブサ猫の正体がわたしであることを知らない。

 フレッド! 覚悟しないさいよっ!

 わたしが目をキランと光らせるのを目ざとく見つけたハインツが、幸せそうに目を細めて笑った。

 
 【本編・完】