土曜の夕方は人で溢れ返ってて、皆それぞれ友達だったり家族だったり恋人だったり、自分の大切な人の隣を幸せそうに歩いてる。

そばのベンチに腰掛け、福間さんと並んでソフトクリームを食べながら、行き交う人達をただボーッと眺めていた。

「あ、ラーメンは普通に食いに行っていいだろ?」

「もちろん、福間さんがよければ」

「いいに決まってんじゃん。俺らダチだしな」

キッパリ言い切る福間さんに、思わず笑ってしまう。こんな人も居るんだなって、ますます福間さんに好印象を持った。

三苫さんも福間さんも、二人とも優しい。

自分の感情を優先して藤君に酷い態度をとっちゃった私とは、大違いだ。




「あれ、相崎さんじゃん」

名前を呼ばれてパッと顔を向けた先には、江南君がいた。笑顔で片手をあげて、私の方へ近づいてくる。

「偶然!何してんの?」

江南君は藤君と仲がいいから、きっと全部知ってる。それでも前と変わらない態度で接してくれる、凄くいい人だと思う。

「お、あの子めっちゃ可愛い〜」

…ちょっとチャラいけど。

「ていうか相崎さん、その人って…」

江南君の視線が、すれ違った女子から福間さんに映った。

「あっ、えっと福間さんは…」

「小夏、垂れてる」

福間さんは私の言葉を遮ってそう言うと、私の手ごとバニラソフトを持って、垂れかけてるところをペロッと舐めた。

「ちょ…っ!」

なにこれめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!焦って福間さんを見ると、なぜか悪い顔して笑ってる。

「えっ、もしかして相崎さんの彼…」

「太一!」

聞き覚えのあるその声に、ピクッと体が反応した。