「おいしい、これ」

「相崎さん、ハンバーガー好きなの?」

「うん、大好き。というか嫌いなものない」

大口を開けてダブルチーズバーガーを頬張る私を、藤君はコーラ片手にニコニコ見てる。

「良かったの?私のリクエストで」

「うん。俺も好きだし」

藤君も私と同じダブルチーズバーガー、LLセット。に、ナゲットも追加。

「大食いって、ホントだったんだね」

「そう。小遣いすぐなくなるから大変」

「アハハ、私も」

こうやって話してると、藤君って案外普通な気がする。

「でもやっぱりイケメンだ」

つい、ポロッと心の声が漏れた。

「え?」

「あ、ごめん本音が」

「それって、どういう意味に取ればいいの?」

不意に、藤君の顔から笑顔が消える。

「どういう?そのままの意味だよ。イケメンで人気者でモテモテなのに、なんで私なんかとハンバーガー食べてるのかなって」

「…」

「それに藤君、最近よく話しかけてくれるでしょ?ありがたいというか。目の保養というか」

「…」

「あ、あれ?」

藤君…もしかして怒ってる?

藤君は何も言わないで、ただブスッとコーラを一口飲んだ。

「嬉しくない」

「は、はい?」

「そんな褒められ方、全然嬉しくない」

「あ、あの…」

イケメンの怒った顔って、なんか妙に迫力がある。

「相崎さん、線引いてない?」

「線?」

「自分と俺とは違う、みたいな」

「え、えぇ?」

そりゃ引くよ、だってそうだもん。