13歩よりも近い距離

 私は、岳のことが好き。

 心の片隅では気付いていたこの感情を、今の今まで否定したがったのはどうしてかというと、ただ単純に、怖かった。いつか岳に飽きられてしまうのが、そのうちフラれてしまうのが。こんなにも私を追いかけて来てくれている岳が、そのうち私を捨てるのが。だからずっと、弟だ空気だって、自分に言い聞かせてきた。
 恋愛と友情を天秤にかけた時、下へと傾くのは友情だと私は思っている。中学時代から付き合い晴れて結婚ゴールインなど、ドラマや映画でだってそんなに見た記憶がない。結局恋愛感情など儚く脆い。友情の方が長く続く。だから私は、岳と恋仲になるのをずっと避けていた。

「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…」

 岳が好きだけれど、岳とは付き合いたくない。そんな矛盾した想いはずっと私の真ん中で燻って煙を立たせていたけれど。

「だめだめだめだめ……」

 どうやらそろそろ、紅い炎がぽっと灯されそうだ。