13歩よりも近い距離

「すず」

 電気を消した、暗い部屋。私と岳は、ベッドの上で手を繋いでいた。

「なに、岳」

 ふたり天井に目を向けながら、会話をする。

「俺、すずがまじで好きなんだ。俺と付き合って……」

 いつものいけしゃあしゃあとした態度ではなく、懇願するようにそう言われ、なんだか切なくなる。

「ねえ、岳」

 ごろんと寝返り、岳を見る。彼は首だけをこちらに向けた。

「私ね、岳のことは好きだよ。小さい時からずっと大好き。でもこの気持ちは、恋愛感情ではないと思ってる。だから、岳とは付き合えない」

 こんなにも暗がりの中なのに、岳の顔が歪みいくのがきちんと見えてしまい、嫌になる。

「俺は、すずに愛されたい……死ぬまですずと、一緒にいたい……」

 また泣くのではないかと思うほどの、小さな声。
 そんな岳への返答に困った私は、握った手をぎゅっぎゅと二回弾ませて、「おやすみ」と瞳を閉じた。