「おー。来たな」
岳の部屋の扉を開けると、彼はリラックスモードでベッドへ横たわっていた。手にしていたスマートフォンを伏せて置き、上半身をむくりと起こす。
「今日から五日間よろしくなっ」
うん、よろしくね、などと言えるはずもなく、私は黙ってドライヤーのプラグをコンセントへ繋げる所作。ゴオッと電源を入れればすぐに、岳は私の背後へまわった。
「やってやるよ、すずの髪」
「は、はあ!?いいよ、自分でできるしっ」
「いいからっ」
半ば強引にそれを奪われて、髪の毛に数本の指を差し込まれる。熱い風、岳の指。またぽっぽと顔が火照りいく。
「すずの親、まじで反対しなかったんだ」
熱風の隙間から、岳の声が抜けてくる。私は壁に目を向けながら答えた。
「しなかった……私のお母さんも岳のお母さんも、私たちのことまだ五歳くらいに思ってるんじゃないの……」
「はは、そうかもなっ」
「こんなの絶対だめだと思うけど……」
その言葉に、岳は何も返さなかった。暫く強い風の音だけがして、そして止まる。
「じゃあ俺も、シャワー浴びてこよっかな」
その瞬間、ぼんっと何かが噴火した。
山など近辺にはない閑静な住宅地なのに、この煙はどこから噴いているのだろうと思ったら、真上を見て判明した。それは己のてっぺんから出た、他者には見えぬ湯気である。それに比例するように、顔面は活火山の如く赤くなる。
「もう、いやだあ……」
こんなさま、岳には見せられないと両手で顔を覆い隠す。しかし時既に遅しというのはこのことで、ちゃっかり岳に楽しまれていた私の反応。彼は嬉しそうにこう言った。
「俺、ようやく幼馴染枠から脱出だなっ」
岳がシャワーを浴びているその間は、彼の言葉がずっと頭で木霊していた。
岳の部屋の扉を開けると、彼はリラックスモードでベッドへ横たわっていた。手にしていたスマートフォンを伏せて置き、上半身をむくりと起こす。
「今日から五日間よろしくなっ」
うん、よろしくね、などと言えるはずもなく、私は黙ってドライヤーのプラグをコンセントへ繋げる所作。ゴオッと電源を入れればすぐに、岳は私の背後へまわった。
「やってやるよ、すずの髪」
「は、はあ!?いいよ、自分でできるしっ」
「いいからっ」
半ば強引にそれを奪われて、髪の毛に数本の指を差し込まれる。熱い風、岳の指。またぽっぽと顔が火照りいく。
「すずの親、まじで反対しなかったんだ」
熱風の隙間から、岳の声が抜けてくる。私は壁に目を向けながら答えた。
「しなかった……私のお母さんも岳のお母さんも、私たちのことまだ五歳くらいに思ってるんじゃないの……」
「はは、そうかもなっ」
「こんなの絶対だめだと思うけど……」
その言葉に、岳は何も返さなかった。暫く強い風の音だけがして、そして止まる。
「じゃあ俺も、シャワー浴びてこよっかな」
その瞬間、ぼんっと何かが噴火した。
山など近辺にはない閑静な住宅地なのに、この煙はどこから噴いているのだろうと思ったら、真上を見て判明した。それは己のてっぺんから出た、他者には見えぬ湯気である。それに比例するように、顔面は活火山の如く赤くなる。
「もう、いやだあ……」
こんなさま、岳には見せられないと両手で顔を覆い隠す。しかし時既に遅しというのはこのことで、ちゃっかり岳に楽しまれていた私の反応。彼は嬉しそうにこう言った。
「俺、ようやく幼馴染枠から脱出だなっ」
岳がシャワーを浴びているその間は、彼の言葉がずっと頭で木霊していた。



