「…嘘だよね?私、昨日の記憶が…」

「嘘じゃないよ?ちゃーんと俺は覚えているよ?」



何とか否定しようと言葉を絞り出せば仄暗い笑みを浮かべた結衣にそれを否定された。



「ほら、これ見て」



上機嫌で結衣は自分のスマホに触れる。
そして結衣はスマホの画面を私に見せ始めた。


裸の結衣に裸の私が抱きついている写真や昨日の何度もしたキスの写真、お互いに肩を合わせて座っている写真などどこかでまるで隠し撮りをしているような構図の写真を次々と見せていく。

裸の写真以外はどれもこれも記憶にある写真だ。
だけどこんな隠し撮りのような写真一体いつ撮ったのか。



「これ週刊誌に売ったらいい値つくだろうね?
莉子は俺のファンに殺されるだろうけど。知ってる?俺のファン超過激なの」



ふふ、と意地悪く笑う結衣に私の体温は一気に冷え切った。


そんなこと結衣に言われなくても知っている。
結衣のファンは超過激で有名なのだから。



「ね、ずっと一緒にいよう?」



結衣の瞳から光が消える。
仄暗い結衣の笑顔を見て私は初めて結衣に恐怖を感じた。

そして結衣から逃げられないことを悟った。




それでも私は結衣が好きで。

これからも結衣から離れられない理由ができた気がして嬉しい私もいた。





end.