そろそろ桜井を
この部屋から解放してやるか。
でも、これだけは教えて。
オマエのことが、心配だから。
「なんで、泣いてた?」
「わっ私、泣いてなんか……」
「バレバレ。
涙がひっこんでも
桜井の目が真っ赤だし」
「それは……」
「俺のことが、嫌いなわけ?」
「……えっ?」
「しゃべる価値すらない男だって
俺を見限ってんの?」
「ちっ、違うよ。
私なんかの悩みなんて
ほんと、大したことじゃないし」
「ほら、そうやって
桜井はいつも、心の痛みを
一人で抱え込もうとする」
「っ? ……いつも?」
「学校でも、そうだろ?」
俺は精いっぱい微笑んでみた。
優しい男だって、思われたかったから。



