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 学校についてから、香乃に『話したい』とメッセージを送ったけれど、既読にすらならない。未読無視をされているのかもしれない。

 SNSを開くと、趣味のアカウントの方で香乃が投稿しているのを見つけた。

『彼氏できてから感じ悪くなったし、絶対遊ばれてるのに気づいてなくて痛すぎる』

 その投稿に対して、私も繋がっている子が返信していて内容が見えてしまう。

『恋愛にのめり込む人って周りが見えてないよねw』
『最近低浮上だと思ってたら、男が原因とか心配して損したんだけど』
『いつも人に合わせてて、自分の意見なかったくせに今度は男に依存?』

 スマホを持つ手が震えて力が入らなくなる。机に落とすように置いて、お腹の辺りをぎゅっと掴んだ。

 自意識過剰かもしれない。それでも彼氏ができたことや低浮上になっていたことは私に当てはまる。それに今朝のことがあったばかりだ。

『え! もしかして、それって例のあの子?』
『DMで言うわw』

 人のことを悪く言いながらも、会話は楽しそうだった。
 誰かのことをネットで書くリスクを彼女は理解しているのだろうか。
 見た相手がどう受け取るのか、言われた相手にどのような傷を残すのか。きっと想像も、理解もしていない。

「……っ」

 画面の向こう側で誰かが泣いているかもしれないことも、自分たちの他愛のない会話がどれほどの人たちに見られているのかも知ろうともしない。

 きっと香乃の中で私はもう敵のような存在になっている。関係のない人を巻き込んでまで、私に対する不満が溜まっていたのだろう。

 大事な存在だと思っていたのは私だけだったのだと、突きつけられた気がする。香乃の機嫌を損ねてリセットの対象になってしまうのが今まで怖かった。けれど、心のどこかで香乃の中で私は特別な存在なのではないかと淡い期待もあった。でも、ただの都合のいい友達でしかなかったのかもしれない。


 それでもこのまま終わらせたら、きっと私は後悔する。
 香乃に再びメッセージを送る。


『もう一度話したいから、連絡ください』

 今回はすぐに既読になったけれど、昼になっても返事はこなかった。