やっと、読書会兼食事会もお開きになり、妙に安堵した。

私は、ひとりで路面電車の乗り場へ向かったが

「ちょっと先輩!何もそこまでサッサと先に行かなくても…」

そんな声に振り向くと、森川がついて来ている。

「先に行くも何も、森川の家の場所、知らないよ?」

「仕事に慣れるまでは実家に居る予定なので、昔と同じですよ。先輩は?」

「私は、実家が職場だから」

「じゃあ、ご近所じゃないですか」

私達は小学校こそ違ったが、実家は徒歩圏内だ。

かつて、私が同じ部の友達と帰宅中、森川がついてきた記憶もある。