「大翔先生…。」
体を半分だけ起こし、大翔先生と視線を合わせる。
「どうした?」
いつもと同じ柔らかい声が安心できる。
「私、ずっと無理してた。
だけど、自分に大丈夫って言い聞かせた。
本当はとっくに体の限界を迎えてたはずなのに。
自分の体調が悪いことに目を逸らしたの…」
この精神実習だけは最後まで頑張りたかった。
だけど、大翔先生にまでこんな辛い表情をさせるくらいならもう少し自分の体調を素直に受け入れるべきだった。
「沙奈…。
ほら、顔をあげて。」
「大翔先生…」
涙でぼやける視界。
「沙奈はよく頑張ってる。
病気と付き合いながら、学業と両立させるのは本当に大変なことなんだ。
きっとそれは、沙奈が1番わかっているはずだよ…
頑張るだけでは、乗り切れないことだってたくさんある。
今、自分にできることは何か。
今の沙奈は、休むことだと思うよ。
ここで無理をしたら、また…沙奈の体に負担をかけてしまう…」
大翔先生は、私を優しく抱き寄せてくれた。
抱きしめられた腕から伝わる、大翔先生の温度。
「もう…沙奈が命の危機に立たされる姿を見たくないんだ…」
大翔先生は、私以上に私の体を心配している。
悪化しないように、注意深く診ようとしてくれている。
いつだって、私の診察には手を抜かない。
ずっと前から分かっていたのに。
大翔先生から少しだけ離れ、大翔先生の瞳から流れた涙の跡を指で辿る。
「沙奈…」
「私、ちゃんと休みます。」
どれくらいで体が回復するかは分からない。
もしかしたら、留年する可能性だってある。
それでもいいのかもしれない。
休学の選択肢を与えられたとしても、それが自分の夢を閉ざすわけではないんだから。
大切な人と、大切な未来を生きるために
今はゆっくり休もう。


