「何か知らんが、モモと凪徒は前から付き合っていて、そこへ昔の彼女が邪魔をしに来たって設定になってるぞ」

「え? ……えーっ!?」

 モモは驚いてテーブルに手を突き立ち上がった。

 慌てて外へ飛び出そうと背を向けたが、暮はいつもの調子を崩さずその後ろ姿を引き()める。

「やめとけよ~モモ。今みんなに何か言っても逆に尾ひれが付くだけだ」

「で、でもっ」

「まぁま、『人の噂も七十五日』と言うからさー」

 ──七十五日も待てないんですが……。

 暮の手前までふらふらと戻ってきたモモは、困ったように眉を下げて再び腰かけた。

 ──それに『嘘から出た(まこと)』ってことわざもあるしな~。

 そんなモモを真正面に見つめて、暮は自分の思いついた言葉にこっそり笑ってみせた──。



★こちらでお分かりの通り、リンはとっても噂好き・お喋り好きなのでした。ですのでPart.1にて秀成が頑張って内緒にしていた二人の仲も、リン本人がバラしておりました。