と、共に巡る先への不安──。

「自分でも……良く分からないんですよ」

 知らず零れ落ちた本音に、微かに笑ってしまった。

「それが青春というものだ」

「……へ?」

 途端返された団長の言葉も何だかおかしい。

「いやぁ~いいもんだのぉー青春って! わしもあと十年若ければ……あ、いや何十年だ? 二十……三十?」

「団長……?」

 独り盛り上がる団長にあっけに取られながらも、凪徒は団長が自分を元気づけようとしていることに気が付いた。

 久し振りに演技と苦笑以外の笑みが口元に現れる。

「お前が思ってるほど複雑じゃないさ」

「え?」

 団長はもう一度格好のつかない目配せをして、

「家のことも、モモのことも……開いてみれば、単純なことだと思うがの」

「は、い……」

 凪徒は立ち上がり、小さな声で謝罪をしながら頭を深く下げた。

 しばらくそうしていて、やっと戻った頃には少し気持ちが軽くなっていた。

 団長と目を合わせ、強張(こわば)った口角を上げ、一礼して静かに退室する。

 ──モモに、謝らないと、な──。

 凪徒は夜空を見上げた後、モモの車に足を向けた──。