「俺はモモに謝るようなことをしてもいなければ、ごまかしてもいない。『あれ』は本音だ。いい加減俺をおちょくるなっ。謝るべきはあっちだっつぅの!」
「お前……」
激しく反論する凪徒に、あっけにとられる暮はふと真顔に戻った。
「あ~? まだ何かあんのかよ」
不機嫌に火の点いた凪徒の前では大概の人間は逃げてゆくものだが、暮はその『大概』に入らない稀少な数人の内の一人だった訳で……
「何度言ったら分かるんだ? そっちこそいい加減素直になれよ~。昨日めかし込んだモモを見かけたって目撃情報もあるんだぞ。お前の仕業だろ?」
お陰で昨夜の出来事が脳内を駆け巡り、凪徒の怒りは噴火寸前になった。
暮の真正面まで顔を降ろして、いつもの怖ろしい形相から吐き出される焔のような否定の言葉。
「良く聞け、『あれ』も俺の仕業じゃ、な、いっ!! ったく、朝からふざけたこと抜かすなっ!」
「じゃあ、休演日に直々会いに来たっていうベッピンさんが、お前のコレか?」
気を落ち着かせようと腕組みし眼を閉じたのも一瞬、暮の言葉に驚いて引き戻した凪徒の視界には、ピンと立たされた小指が突き出されていた──。
「お前……」
激しく反論する凪徒に、あっけにとられる暮はふと真顔に戻った。
「あ~? まだ何かあんのかよ」
不機嫌に火の点いた凪徒の前では大概の人間は逃げてゆくものだが、暮はその『大概』に入らない稀少な数人の内の一人だった訳で……
「何度言ったら分かるんだ? そっちこそいい加減素直になれよ~。昨日めかし込んだモモを見かけたって目撃情報もあるんだぞ。お前の仕業だろ?」
お陰で昨夜の出来事が脳内を駆け巡り、凪徒の怒りは噴火寸前になった。
暮の真正面まで顔を降ろして、いつもの怖ろしい形相から吐き出される焔のような否定の言葉。
「良く聞け、『あれ』も俺の仕業じゃ、な、いっ!! ったく、朝からふざけたこと抜かすなっ!」
「じゃあ、休演日に直々会いに来たっていうベッピンさんが、お前のコレか?」
気を落ち着かせようと腕組みし眼を閉じたのも一瞬、暮の言葉に驚いて引き戻した凪徒の視界には、ピンと立たされた小指が突き出されていた──。