「モモ? まだいるか?」
団長室での謝罪と報告は小一時間に及んでいた。
団長は相変わらずのつぶらな瞳を更に小さく細めてにこやかに話を聞いたが、凪徒は団長が普段と変わらなければ変わらないほど言葉が上手く出てこなかった。
それでもポツリポツリと話は紡がれて、目の前で自分とモモの退職願が破かれ、この二週間の騒ぎは静かな結末を迎えた。
「……ん……? あっ、すみません!」
モモが待つプレハブの扉を開き、凪徒は特に彼女を見つけた訳でもなく声をかけた。
背を向けてテーブルに突っ伏していたモモは、ハッとして上半身を跳び上げ返事をする。
どうやらいつの間にか眠ってしまったらしい。
凪徒へと振り向いた眠気眼が、はっきりその姿を捉えようと瞼をパチクリさせた。
「悪かったな、疲れただろ?」
「いえ……夕陽が気持ち良くって」
テーブルの奥に回り込んで目の前の席に着いた凪徒の後ろを望んだが、もう夕焼けの紅い光は差し込んでいなかった。
四角く切り取られた黒い背景は、凪徒が下げたブラインドの薄いグレーに変えられていった。
団長室での謝罪と報告は小一時間に及んでいた。
団長は相変わらずのつぶらな瞳を更に小さく細めてにこやかに話を聞いたが、凪徒は団長が普段と変わらなければ変わらないほど言葉が上手く出てこなかった。
それでもポツリポツリと話は紡がれて、目の前で自分とモモの退職願が破かれ、この二週間の騒ぎは静かな結末を迎えた。
「……ん……? あっ、すみません!」
モモが待つプレハブの扉を開き、凪徒は特に彼女を見つけた訳でもなく声をかけた。
背を向けてテーブルに突っ伏していたモモは、ハッとして上半身を跳び上げ返事をする。
どうやらいつの間にか眠ってしまったらしい。
凪徒へと振り向いた眠気眼が、はっきりその姿を捉えようと瞼をパチクリさせた。
「悪かったな、疲れただろ?」
「いえ……夕陽が気持ち良くって」
テーブルの奥に回り込んで目の前の席に着いた凪徒の後ろを望んだが、もう夕焼けの紅い光は差し込んでいなかった。
四角く切り取られた黒い背景は、凪徒が下げたブラインドの薄いグレーに変えられていった。