「あ、あの……先輩のお父様」
やがて雑然と駆け巡っていた皆の会話が落ち着いた頃、モモが静かに声をかけたのは隼人だった。
「先輩のお母様にも、ですけれど……母に救いの手を差し伸べてくださったこと、見ず知らずのあたしを娘にしてくれようとしてくださったこと……本当に、ありがとうございました!」
今一度深い礼を捧げたモモの頭上に、降り注ぐ温かな声。
「芙由子は椿さんと同じく優しい心根の持ち主だった。それも理由の一つだが、きっと心から君を娘として迎えたかったのだと思うよ。彼女は子供が大好きだったからね」
そして次に後頭部へ与えられた感覚は、凪徒の大きな掌だった。
「先輩……?」
ゆっくりと体勢を戻し、その手の先を仰ぎ見る。
「おふくろの墓参りに付き合うか? 今日は命日なんだ」
「は……はいっ、是非!」
いつになく柔らかで優しい凪徒の瞳は、「これが先輩のお母様の笑顔なんだ」とモモに確信をもたらしていた──。
★現状『夢の国』は閉園後でないと貸し切りは無理のようでございます。
やがて雑然と駆け巡っていた皆の会話が落ち着いた頃、モモが静かに声をかけたのは隼人だった。
「先輩のお母様にも、ですけれど……母に救いの手を差し伸べてくださったこと、見ず知らずのあたしを娘にしてくれようとしてくださったこと……本当に、ありがとうございました!」
今一度深い礼を捧げたモモの頭上に、降り注ぐ温かな声。
「芙由子は椿さんと同じく優しい心根の持ち主だった。それも理由の一つだが、きっと心から君を娘として迎えたかったのだと思うよ。彼女は子供が大好きだったからね」
そして次に後頭部へ与えられた感覚は、凪徒の大きな掌だった。
「先輩……?」
ゆっくりと体勢を戻し、その手の先を仰ぎ見る。
「おふくろの墓参りに付き合うか? 今日は命日なんだ」
「は……はいっ、是非!」
いつになく柔らかで優しい凪徒の瞳は、「これが先輩のお母様の笑顔なんだ」とモモに確信をもたらしていた──。
★現状『夢の国』は閉園後でないと貸し切りは無理のようでございます。