「着いたぞ、モモ」

 本社ビル裏手の来客駐車場に車を停めた暮は、颯爽(さっそう)と降り立ちモモを振り返った。

 同じくすっくと立ち上がったモモも、暮と秀成の微笑みに一つしっかりと(うなず)いてみせる。

「それじゃ、行きます」

 モモはギュッと両拳を握り締めて歩き出した。

 二人もその後に続く。



 ──先輩を、取り戻す!



 ビルに降り注がれる陽差しは強く、その反射光が行く先を鋭く突いた。

 それでもモモは瞳を逸らすことなく、凪徒を囲う巨大な要塞にキビキビと足を進めていった──。