「まだ迷っているみたいね。どうぞ、気の済むまで考えてみて。でも私達、明後日には三人で今後についての話し合いを持つことになったから、その時にはナギの()(すえ)も決まると思うわ」

「そ……んな──」

 明後日──サーカスの休演日だ──。

「ね、良く考えてみて、モモちゃん。ナギがそうであるように、貴女にも未来への可能性が溢れているの。サーカスでブランコに乗って、脚光を浴び続けるのも魅力的なことかもしれないけれど、それは今の貴女がまだ他の世界を知らないからよ。私の所に来ればすぐに気付くわ。どんなに世界が広いのかってことに。それにブランコなんて危ない物、私は貴女に続けてほしくないの。一度でも大怪我をしてしまったら、生活の(すべ)を失うどころか何も出来ない人間になるのよ。義務教育しか卒業していない女の子を、どこの企業が雇ってくれると言うの? その上働けない身体になってしまったら……ブランコに乗れる時間なんて、せいぜいあと十年ほどでしょ? その十年に命懸けるなんて……私には理解出来ないわ」

「十年……」