──本当に……先輩の場所は、あの会社なの?
どんな時でもブランコに乗っている凪徒は輝いて見えた。
美しい舞。見事な技。
幾ら叱られてもついて行けたのは、その説教に真実味があったからだ。
全てが事実だった。
あの大きな背に一歩でも近付きたい。
そう思えたからこそここまで来られた──なのに……。
──先輩は『妹』のために『自分』を捨てるの……?
モモは分からなくなった。
凪徒のあるべき場所も、見るべき夢も、そして自分のそれらも。
「いや……だ。そんなの……やだ、よ──」
アーケードの出口までフラフラと歩いた足取りが止まる。
ちょうど右に聳えた電柱にもたれ額に手を当てた。
視界に入ったテントのてっぺんを隠すように翳し、それでも足りない気がして瞼を閉じた。
その下の強張った頬を一筋の涙が伝い落ちていった──。
☆ ☆ ☆
どんな時でもブランコに乗っている凪徒は輝いて見えた。
美しい舞。見事な技。
幾ら叱られてもついて行けたのは、その説教に真実味があったからだ。
全てが事実だった。
あの大きな背に一歩でも近付きたい。
そう思えたからこそここまで来られた──なのに……。
──先輩は『妹』のために『自分』を捨てるの……?
モモは分からなくなった。
凪徒のあるべき場所も、見るべき夢も、そして自分のそれらも。
「いや……だ。そんなの……やだ、よ──」
アーケードの出口までフラフラと歩いた足取りが止まる。
ちょうど右に聳えた電柱にもたれ額に手を当てた。
視界に入ったテントのてっぺんを隠すように翳し、それでも足りない気がして瞼を閉じた。
その下の強張った頬を一筋の涙が伝い落ちていった──。
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