その様子に少し寂しさを感じながらも、同時にようやく対等になれたのかな?って、嬉しかった。
きっと以前なら、姉は俺を褒める時に頭を撫でてくれていただろう。
でも、それがなくなった今は……。いや、これからは、本当の意味で、家族を護っていけると思った。

「な、姉貴」

「ん?」

「お腹、触ってみてもいい?」

「え?……いいけど。まだぺったんこだし、動かないし、触っても何も分からないわよ?」

姉貴はそう言って笑った。
けど、そっと姉貴のお腹に触れた瞬間、俺は確かに感じたんだ。
ここに自分よりもか弱い、小さい存在がいるんだ、って思ったら、胸がキュンと締め付けられて暖かくなった。

「……そんな事ないよ、可愛い」

「え?」

「なんか……恥ずかしいけど、嬉しいな!」

この気持ちを、どう表現したらいいのか分からなかった。
けど、嬉しくて、幸せで……。俺はきっと、照れたように微笑ってた。
そして姉貴もそんな俺を見て、微笑った。

「なに父親みたいな事言ってんの。言っておくけど、この子が生まれたらあんたは叔父さんだからね?」

「!……叔父さん?!」

「そうよ。ツバサ叔父さん」

「っ、……そ、そっか。叔父さん、か……」

叔父さん。
まだ10代の自分に訪れる現実に再び少しショックを受ける。が、生まれてきた甥っ子か姪っ子にそう呼ばれるのならば、きっと愛おしいものに変わるのであろう、とすぐに思えた。

「よーし!叔父さん、また明日から頑張るぞ〜!
白金バッジの夢の配達人になって、自慢してもらえるような叔父さんにならなきゃなっ」

この日の出来事は、確かに俺を前向きにしてくれて、突き動かしてくれる力になった。

「あんたは、そのままいつまでも変わらないでいて……」

そう俺に微笑んで言ってくれた姉貴の心の内を知らないまま……。俺は自分の目標達成の為に、突き進み続けるんだ。