「望さん、いなくなる前に恋人とのことで悩んでるって、良樹くんにだけは言ってるんです。良樹くん、あのときもっとちゃんと話を聞いてやればよかったってずっと後悔していて」
「うん、私も作田くんから聞いてる。でも、それを言うなら家族もなのよ。望がそこまで思いつめてるって気づけなかった。だから、望にかけられた迷惑に頭が痛い時期もあったけれど、結局家族の責任だとも思ってるんだ」
駆け落ちしたふたりの苦しみに気づいてやれなかったのは、残された全員なのだ。もちろん、すべて捨てていった彼らに否がないとは言わない。だけど、すべてにおいて誰かのせいと言い切るのは難しい問題なのだろう。
「だから、作田くんには本当に気に病まないでほしい。私のことでも迷惑をかけてしまっているし、貴重な情報を集めてくれただけで感謝の極みだよ。私が望を探しに行くって気持ちに変わりはない」
鍵が開く音がする。作田くんが帰ってきたのだ。
「明日海さん、わざわざありがとうございます」
リビングに現れた作田くんはスーツの上着を腕に下げ、額には汗。急いで帰ってきてくれた様子だ。
「いいえ、夕飯時にお邪魔しちゃってごめんなさい。望のこと、本当にありがとう」
私たちの声に抱っこしていた未来がぴくりと動いた。目がぱっと開き辺りを見回した後、自宅でなかったことに驚いたようだ。ゆなさんと作田くんの顔を見るなり、わーっと泣き出した。
「未来、落ち着いて。大丈夫だよ」
「未来ちゃ~ん」
大人が三人慌てて未来をあやすけれど、変な時間に寝てしまったことと、久しぶりの人見知りと場所見知りの発動で、未来はなかなか泣き止まなかった。
「うん、私も作田くんから聞いてる。でも、それを言うなら家族もなのよ。望がそこまで思いつめてるって気づけなかった。だから、望にかけられた迷惑に頭が痛い時期もあったけれど、結局家族の責任だとも思ってるんだ」
駆け落ちしたふたりの苦しみに気づいてやれなかったのは、残された全員なのだ。もちろん、すべて捨てていった彼らに否がないとは言わない。だけど、すべてにおいて誰かのせいと言い切るのは難しい問題なのだろう。
「だから、作田くんには本当に気に病まないでほしい。私のことでも迷惑をかけてしまっているし、貴重な情報を集めてくれただけで感謝の極みだよ。私が望を探しに行くって気持ちに変わりはない」
鍵が開く音がする。作田くんが帰ってきたのだ。
「明日海さん、わざわざありがとうございます」
リビングに現れた作田くんはスーツの上着を腕に下げ、額には汗。急いで帰ってきてくれた様子だ。
「いいえ、夕飯時にお邪魔しちゃってごめんなさい。望のこと、本当にありがとう」
私たちの声に抱っこしていた未来がぴくりと動いた。目がぱっと開き辺りを見回した後、自宅でなかったことに驚いたようだ。ゆなさんと作田くんの顔を見るなり、わーっと泣き出した。
「未来、落ち着いて。大丈夫だよ」
「未来ちゃ~ん」
大人が三人慌てて未来をあやすけれど、変な時間に寝てしまったことと、久しぶりの人見知りと場所見知りの発動で、未来はなかなか泣き止まなかった。



