冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす

豊さんは私を見て、それからゆなさんの腕の中の未来を見た。
あまり穏やかではない話し合いに、未来はきょとんとしている。豊さんが先日会った男性だとわかっているかは不明だ。

「明日海、きみは俺の妻になる。軽率に元恋人の家を訪れるようなことはやめろ」
「はい……、申し訳ありませんでした」

豊さんは帰っていき、私は作田くんとゆなさんに頭を下げた。

「こんな形で巻き込んでしまって本当にごめんなさい。奥村フーズが子会社化しても、絶対に作田くんの待遇は守るから」

作田くんは自分のことなどいいと首を振り、それから心配そうに私を見た。

「明日海さん、笛吹副社長との関係、つらくないですか。あの人、まだ望や奥村家にいい感情を抱いていないように見えます」
「好かれてはいないでしょうね。でも、業務上決まったことだから」

おそらくこの高圧的な訪問は、作田くんに印象付けるためだろう。
私が笛吹家で不遇な扱いを受けるかもしれないと。彼が望と繋がっているなら、望に姉の状況が伝わると見越しているのだ。
現時点で作田くんも私も、望の行方を追っている状況だけれど。

「未来に何かする人ではないわ。だから、大丈夫」
「でも明日海さんは虐げられるんじゃないですか? もし、DVやモラハラをされるならすぐに言ってくださいよ。俺、助けになりますから」
「そうです。うちに逃げてきてください」

作田くんとゆなさんの優しさに感謝し、私は彼らの家を出た。彼らにも甘えすぎてはいけないのだ。きっと豊さんはそれを許さない。