「望はいいやつですけど、優しすぎるところがあるんですよね。だから、思いつめてこんなことしちゃったんじゃないかなって思います。それにしても、今頃どこで何をしてるんでしょう。あいつがこんなことをしなければ、奥村フーズは安泰で、明日海さんが政略結婚することもなかったのに」
「あの子は愛を貫いたのかもしれないけれど、置いていかれた周りは、困ったことだらけなのよね」
顔を見合わせ、苦笑いともつかない笑顔を向けあう。
そのとき、玄関のドアチャイムが鳴った。
ゆなさんが応対し、すぐにリビングに戻ってきた。困惑げな表情をしている。
「良樹くん、笛吹製粉の方が」
私はぎょっとして近くで遊んでいた未来を抱き上げた。
作田くんについて、一緒に玄関まで出ると、そこには豊さんの姿があった。外で車を待たせているようで、彼ひとりだ。
「明日海、この家で何をしている」
あなたこそどうしてここへ、と思いながら、低く答える。
「作田くんと奥さんとは友人ですから……」
豊さんふうと息を吐いた。不機嫌そうな顔だ。そのまま作田くんに向き直った。
「そこにいる奥村明日海と未来のことで話があってきた。場所を移した方がいいだろうか」
奥さんのゆなさんがリビングの入り口のところで、未来を預かって様子を伺っている。彼女を気遣ってのことだろう。作田くんが首を左右に振った。
「いえ、妻は俺と明日海さんが過去に交際していたことを知っています。未来の父親についても」
「あの子は愛を貫いたのかもしれないけれど、置いていかれた周りは、困ったことだらけなのよね」
顔を見合わせ、苦笑いともつかない笑顔を向けあう。
そのとき、玄関のドアチャイムが鳴った。
ゆなさんが応対し、すぐにリビングに戻ってきた。困惑げな表情をしている。
「良樹くん、笛吹製粉の方が」
私はぎょっとして近くで遊んでいた未来を抱き上げた。
作田くんについて、一緒に玄関まで出ると、そこには豊さんの姿があった。外で車を待たせているようで、彼ひとりだ。
「明日海、この家で何をしている」
あなたこそどうしてここへ、と思いながら、低く答える。
「作田くんと奥さんとは友人ですから……」
豊さんふうと息を吐いた。不機嫌そうな顔だ。そのまま作田くんに向き直った。
「そこにいる奥村明日海と未来のことで話があってきた。場所を移した方がいいだろうか」
奥さんのゆなさんがリビングの入り口のところで、未来を預かって様子を伺っている。彼女を気遣ってのことだろう。作田くんが首を左右に振った。
「いえ、妻は俺と明日海さんが過去に交際していたことを知っています。未来の父親についても」



