そこまで考え、かすかに首を振った。
暗い想像は、やめよう。私と未来が彼と戸籍上の家族になることはもう決まった。
今のところ、彼は未来に興味はないだろう。むしろ、教育などは私の判断で好きにしてくれていいと言っている。否定する限り、実の娘だとは気づかないかもしれない。

「未来」

結婚を受けざるを得ない状況だった。断れば、奥村フーズがどうなるかわからない。父の処遇がどうなるかわからない。
彼は結婚を断っても、子会社化の話は進めると言ってくれた。奥村フーズ自体に利益があるからだ。しかし、復讐心を抱いている彼をどこまで信用していいかわからない。

未来のことだって、実際一緒に暮らしてみて彼がどんな気持ちになるかはわからないのだ。彼からすれば、嫌いな女の連れ子。泣き声をうるさいと思うかもしれないし、やはり金をかけるのは嫌だと思うかもしれない。

万が一、豊さんが未来の生育上よくない態度を取った場合は、今度こそ彼の前から消えよう。どんなことがあっても、未来の成長が一番優先すべきことなのだから。