冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす

両親を通じて豊さんから連絡があったのは翌日だった。
週末、会いに行くと言う。うちに来られるのも、住んでいる地域を特定されるのも困る。
両親はまだ住所を話していないというけれど、そもそも私に子どもがいることまで突き止めているのだから、今更無駄なのかもしれない。

悩んだ末、電車で池袋まで出て会うことにした。
私の最寄り駅からは一番出やすい都心部の大きな駅だ。未来も電車に乗ったことはあるので、三十分くらいなら問題なく行けるだろう。

当日、私はシャツにスカート、抱っこ紐で未来を抱き上げた。薄手のジャケットはオムツやおやつと一緒にマザーズバッグの中。

未来には両親が買ってくれたワンピース型のロンパースを着せた。おしり周りをカバーしてくれ、ひらひらとスカートが可愛い。ひまわりの柄が未来によく似合う。

しかし、池袋駅に到着してすぐに未来は着替えをする羽目になる。電車の中から欲しがっていた赤ちゃん用のおせんべいをホームのベンチで食べさせたら、一緒に飲ませた麦茶もろとも口からべろべろと出してしまったのだ。

「未来!」
「だーあう」

何か気に食わなかったようだ。離乳食もたまにこうやって出すことがある。しかし、おせんべいに練り込まれていた野菜のせいでワンピースはお腹のあたりに染みが……。

もちろん着替えも用意してあるけれど、幸先が悪くて早速不安になってしまう。駅のトイレでオムツと一緒に着替えさせた。着替えはレースのついたTシャツとブルマ。これも可愛いけれど、すぐ汚してしまいそう。